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  1. 富山県議会 2003-02-01
    平成15年2月定例会 総括質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時12分開議 ◯議長(竹内弘則君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。    県政一般に対する総括質問並びに提出案件に対する質疑 2 ◯議長(竹内弘則君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第55号まで、議案第58号から議案第77号まで、報告第1号、報告第2号及び議員提出議案第1号を議題といたします。  これより県政一般に対する総括質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  山辺美嗣君。    〔15番山辺美嗣君登壇〕 3 ◯15番(山辺美嗣君)私は、自由民主党を代表して、本定例会のこれまでの質疑を踏まえ、多少の重複は御容赦いただきつつ、総括質問を行います。  最初は、新時代の行政運営についてであります。  我が党は、平成13年12月に県出資法人の廃止や統合を含めた事務事業の見直しを知事に提言いたしました。県では、14年9月に外郭団体の指導方針を策定し、14年度と15年度の2カ年を集中推進期間として外郭団体の見直しに取り組んでおられます。  外郭団体については、設立の目的を達成したものや民間で経営できるものは廃止縮小、民間移管するとともに、類似業務を行うものは統合を進めるべきであります。  また、今後とも存続するものについては、経営評価の導入などによる費用対効果の視点の徹底、経営責任の明確化など経営努力を誘発する仕組みの導入、能力・業績主義の徹底、NPOの育成と活用の促進など、効率的な事業運営に努めるべきであります。  特に平成15年度の見直しにおいては、財政状況が悪化し、またはその懸念のある団体の経営の健全化、県のOB職員を含めた人事・組織のあり方の検討、情報公開による経営の透明性の確保などに重点的に取り組むべきであります。  また、公の施設の管理運営については、出資法人以外の民間にも委託できるとする地方自治法の改正案が今国会に提出されると聞いております。法改正の趣旨をくみ、公の施設の管理の受け皿となっている外郭団体のあり方を大胆に見直すとともに、民間委託化を可能とし、実現するためのガイドラインの検討を進めるべきであります。  そこで、平成14年度から2カ年を重点推進期間としている外郭団体の見直しについて、15年度は具体的にどのように仕上げるのか、江畑経営企画部長に伺いたいのであります。  さて、NPOは、経営体を想定した公益団体として法整備がなされております。NPOが育つということは、経営体としての観点から見れば雇用の創出であり、公益団体としての観点では行政機能の一部が置きかわっていくことであり、行政改革であります。すなわち、NPOにより官から民へ機能が移管されることは、民への市場開放と官の合理化を促し、経済構造改革を進めるものであります。  また、これまでの行政は、公平・平等の原則のもとに全国画一的な施策がとられてきたのですが、今日、人々の価値観は多様化し、地域の課題に向き合うには、行政のみでは地域住民のニーズに十分にこたえられるものでなく、まちづくりや環境保全など社会的使命を担うNPOとの協働、言いかえれば、パートナーシップの形成が不可欠であります。  我が党が今定例会に提案した都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例においても、その中核的使命を担う活性化センターとしてNPO法人を指定することとしており、NPOは地域づくりの主導的な役割を果たすことが期待されているのであります。
     県は、公的な分野におけるNPO、ボランティアなどの参加を促進するため、平成15年度に協働のためのガイドラインを策定いたしますが、例えば青少年教育施設自然公園管理施設の運営などNPOに開放していく公的分野を具体的に示し、またNPOがその担うべき役割を実行に移すまでの支援の内容を示すことが重要であります。NPOを財団法人や第三セクターとは異なる自立自存の行政のパートナーとして位置づけ、その設立の支援を強化し、新たなセクターとして育成すべきであります。  そこで、公的分野におけるNPOの参加を促進するため、協働ガイドラインの策定に当たっては、NPOに期待し、開放していく行政の分野を具体化するとともに、NPOの設立支援を強化すべきと考えるが、どのように取り組んでいくのか、知事に承りたいのであります。  次は、産業・雇用問題についてであります。  県では、平成13年4月に技術開発財団など3つの財団を統合し、総合的産業支援機関として新世紀産業機構を設立したところであります。  新世紀産業機構は、中小企業の新技術について技術開発から商品化、販売に至るまでの各段階における技術、人材、情報、資金、設備といった経営資源に対して、幅広いメニューにより創業やベンチャー、経営革新を支援してきております。中でも、経営や技術、情報化などの分野ごとに診断、助言する専門家派遣事業を利用する企業が、14年度は1月までの10カ月間で延べ718 件に上るなど、大きく増加してきております。また、新産業創出公募事業は2カ年で応募件数が83件、そのうち35の課題を委託研究として支援しており、商品化、実用化されたものやそのめどが立ったものが続々と出てきております。さらに、文部科学省の知的クラスター創成事業において、本県のとやま医薬バイオクラスター事業が15年度、試行地域から実施地域に選定がえされることになりました。このように、同機構の産業支援が着実に成果を上げつつあると評価いたします。  しかしながら、市場競争の激しい現代社会では、企業にとっていち早い新技術の開発や経営革新の実行が至上命題であり、機構もこうした要請にスピード感を持ってこたえていかなければなりません。このため、県の政策評価制度試験研究機関で新年度から試行する外部評価制度を新世紀産業機構にも適用することなどにより、新技術の開発や経営革新に迅速かつ的確に対応できるよう、産学官の連携や資金面、人材面などの支援をより効果的なものに改善していくべきであります。  そこで、設立後2年経過する新世紀産業機構について、これまでの産業支援の実績をどのように評価し、また産業界の期待にこたえる機構とするために、今後、同機構の組織の強化や支援業務の拡充にどのように取り組むのか、山本商工労働部長に伺いたいのであります。  さて、雇用・失業情勢は厳しい状況が続いております。こうした中で、サービス分野は新たな雇用の創出が見込まれる分野として大いに期待されております。事業所・企業統計によれば、30年前には33.6%を占めていた県内の製造業の就業者割合は、平成13年に25.3%にまで減少した一方で、サービス業については16.1%から26.7%に増加し、初めて製造業を抜いております。  これまでは、製造業の強い県ほど雇用の吸収力があるとされておりました。しかし、昨今の国際的な競争の激化に伴う構造変化などにより、経済のソフト化、サービス化が進展しており、これに応じた人材の育成と、雇用の受け皿となる情報通信、環境、福祉、観光関連などのサービス産業そのものを振興する施策の充実が重要な課題となってきております。また、労働力の流動化が顕著なサービス業においては、これまで製造業が行ってきたような企業内教育に多くを期待できないことから、公的な支援を強化し、人材育成に取り組む必要があります。  このため、サービス分野の職種や仕事の内容の紹介、職場見学などを企業と協力して実施するとともに、県の職業能力開発センターでの訓練科目の充実や大学、専門学校などへの委託化など、サービス分野職業能力開発を重点的に実施すべきであります。また、サービス業や事務系などのいわゆるホワイトカラー職業能力開発を効果的に進めるため、ビジネスキャリア制度による職業能力の習得や、雇用能力開発機構が運営する生涯職業能力開発促進センター「アビリティガーデン」が行っているホワイトカラー向け職業能力開発のノウハウを公共職業能力開発施設で活用することも必要であります。  そこで、経済のソフト化、サービス化に対応して、県ではどのように職業能力開発に取り組むのか。こうした取り組みの実践として、ここ数年間にわたって移転改築が検討されている砺波地域の県立職業能力開発センターの訓練科目の見直しにこの新たな取り組みを反映していく考えはないか、知事に承りたいのであります。  さて、観光産業は、旅行業、宿泊業、旅客運送業にとどまらず、飲食業、小売業、さらには農林水産業、製造業などに関係するすそ野の広い総合産業であり、21世紀のリーディング産業と位置づけられ、期待されております。しかしながら、日本人の海外旅行者は年間約1,600 万人に上るものの、外国からの旅行者は500 万人足らずにとどまっているのであります。  このため国は、今年を「訪日ツーリズム元年」と位置づけ、低迷する経済の起爆剤とするため、1,000 万人の観光客を海外から迎えるという目標を掲げたところであります。また、観光立国懇談会を本年1月に設け、外国人観光客の誘致策など観光振興の基本指針を4月中に取りまとめることにしております。  世界有数の山岳観光地である立山黒部アルペンルート世界遺産白川郷・五箇山の合掌造り集落を有する本県も、外国人向けツアーの開発や外国語の案内看板の設置、語学や外国文化の教育など観光業に携わる人材の育成などに取り組むべきであります。さらに、在日外国人に対するモニターツアーの実施など、本県観光について外国人が評価し、PRするような施策も講じるべきであります。また、ソウルや大連への直行便を有する本県のポテンシャルを最大限に活用することや、近県と連携した広域観光を進め、広域での魅力アップを図ることも必要であります。  そこで、本県産業への波及効果が大いに期待される海外からの観光客誘致にどのように取り組むのか、知事に承りたいのであります。  さて、近年の旅行の満足度は、これまでの「見る」から「やってみる」という体験志向が強まり、「学習」と「感動」がキーワードとなった産業観光が注目されております。このため、去る4日にとやま産業観光推進協議会富山商工会議所内に設置され、産業観光の振興に取り組むこととされました。  本県は、医薬品産業を初めアルミ加工、ファスナー、機械製造など、日本海側屈指工業集積県であります。また、電源開発に伴うダムや発電施設、国指定文化財富岩運河中島閘門、さらには井波彫刻や高岡銅器などの製作現場も、見方を転ずれば有力な観光資源となるのであります。物づくりの工場や地場産業の現場、産業遺産にスポットを当て、体験型の観光資源として活用することは、地域産業の新たな展開に向けての成長、発展の契機となるものと思うのであります。  そこで、県内各地の物づくりの生産現場や産業遺産などを観光資源として活用する産業観光の振興に積極的に取り組むべきと考えるがどうか、商工労働部長に伺いたいのであります。  さて、本県の観光施策を推進する民間機関として県観光連盟が、また地域ごとにはそれぞれ観光協会が設置されております。しかしながら、県内の30の観光協会のうち、半数を超える16の協会が市町村の観光担当課に事務局が併設されているなど、その運営は、実際には人員、資金の両面にわたって行政に依存しているのが実情であります。もちろん、観光振興は官と民が協力して取り組むべきものでありますが、成長産業としての経済効果や雇用効果を実現していくのは民間であり、何よりも民間が主体的に取り組むことが重要だと考えております。今後の観光事業の振興に当たっては、民間の力がより発揮できる体制づくりや環境整備を進める必要があります。  また、観光協会の中には商工会議所、商工会に併設されたものもあります。市町村合併やこれに伴う商工会等の再編の動きもにらみ、各観光協会が企業や住民によって後押しされた足腰の強い組織体制とするため、専任職員の配置や法人化など組織体制の強化を図るべきでありますし、そのための県や市町村の強力なバックアップも必要と考えるのであります。  さらに、県レベルの組織である県観光連盟についても、県の観光課に併設されております。その経緯や理由はあるとは思いますが、民間の資金、人材、ノウハウを活用し、民が主体となって効果的、機動的な施策が展開できる体制へと転換すべきであり、そのための県の財政支援も必要だと考えるのであります。  そこで、北陸新幹線開業による交流人口の増大、観光面でも重要なグリーン・ツーリズムの推進など、中期的な視点に立って観光施策を強力に展開するため、市町村観光協会県観光連盟などについて、その組織を民間中心の体制へと転換し、あわせて県の支援のあり方を見直すべきと考えるがどうか、商工労働部長に伺いたいのであります。  さて、本県には、かまぼこや昆布巻きニシン、ますずしやかぶらずしなど、全国に誇る伝統的な食品が数多くあります。健康や長寿への関心が高まる中、これらの地域資源を活用し、本県独自の健康機能食品や食材をつくり出し、全国に発信、供給することは大変重要であります。特に本県は「くすりの富山」をイメージした薬膳料理に関する文化が芽生えつつあることから、健康食文化の創造に対する取り組みが期待できます。  県では、食品研究所や薬事研究所、伝統医学センターなどの試験研究機関や県立大学、民間食品産業など、産学官が一体となって食品や食材を研究開発することとしておりますが、本県独自のブランド化を図る上でも積極的に推進すべきだと考えます。豊富なミネラル成分と海洋性の微細藻類を含む深層水の利用や県立大学に蓄積されたバイオ技術の活用など、研究開発の土壌は十分に備わっているのであります。また、商品化された場合の民間への技術移転や販売体制の支援もあわせて検討すべきであります。  健康機能食品を本県から発信することによって、本県の持つ「くすりの富山」のイメージアップと県民の健康な食生活が図られるものと考えます。  そこで、本県独自の食材や食品について、産学官が一体となった健康機能食品の開発を図るべきと考えるがどうか、井田農林水産部長に伺いたいのであります。  次は、教育問題についてであります。  昨年12月、政府の地震調査委員会は、砺波平野及び呉羽山断層帯で発生する地震の長期的な評価結果をまとめました。両断層帯で今後30年以内に地震が起きる可能性は最大6%、地震規模は阪神・淡路大震災にほぼ匹敵するマグニチュード7.2 から7.3 程度と推定されております。一昨日には、石川県の森本・富樫断層帯が地震を起こした場合、砺波平野南部に最大で震度7の強い地震波が発生する可能性があるとの予測が発表されました。  また、内閣府の調査によると、全国の学校の耐震化率は45.9%である一方、本県は平均以下の40.6%にとどまっております。学校施設は、児童生徒の生活の場であることや、非常災害時においては地域住民の避難所の役割を果たすことから、耐震性能の向上を図ることは喫緊の課題であります。  我が党は、従来から県立学校の耐震化の推進に積極的に取り組んできたところであります。本年度は県有施設耐震補強推進費が計上され、県有施設の耐震調査研究及び優先度の高い一部の建物の耐震診断が行われております。新年度予算においても、大幅に増額された耐震診断の予算が計上されているところでありますが、それでも227 棟もの県立学校の耐震診断未実施施設の一部が対象になるにすぎないのであります。  また、耐震診断の結果を踏まえた耐震補強については、着実にかつ速やかに実施していかなければなりません。財政環境が非常に厳しいとはいえ、財源や整備手法に工夫を凝らして取り組むべきであります。県民の協力によるミニ公募債、民間の資金や技術力、運営ノウハウを生かしたPFI制度の活用が重要と考えるのであります。  さらに、小中学校においても、県立学校と同様に、耐震診断、耐震補強が進まない状況にあります。県として市町村の対応を促していくことも必要であると考えるのであります。  そこで、県立学校について耐震調査の速やかな実施に努めるとともに、耐震補強や改築に当たってはミニ公募債PFI制度なども活用し、着実にかつ速やかに実施することが重要と考えるが、どのように取り組んでいくのか。また、小中学校の耐震化の推進について、県としてどのように取り組んでいくのか。中沖知事は、常々「災害は忘れないうちにやってくる。しかも必ずやってくる」と語っておられます。知事の所見を伺いたいのであります。  さて、私たちが子供のころは、野山を駆けめぐり、春には草木の芽吹きを楽しみ、夏にはセミやカブトムシを捕まえ、秋には柿や栗を味わい、冬にはスキーや雪合戦に明け暮れたものであります。今では子供たちが外で遊ぶ姿を見ることはめっきり少なくなりました。  本県は、島津製作所の田中耕一フェローが2日の名誉県民贈呈式で述べられたように、豊かな自然に恵まれ、立山山麓や有峰、五箇山など子供たちの自然体験にふさわしい環境がたくさんあります。子供たちがもっと自然にふれあう機会を設けて、好奇心や探求心、創造性をはぐくむことが重要であります。特に夏休みや冬休みに十分な時間をかけて取り組むことが効果的であります。  このため、少年自然の家や自然博物園「ねいの里」、富山市ファミリーパークなどで行われている各種の自然体験プログラムを体系化し、ノウハウを全県的に普及するなど、学校や家庭、地域が子供たちの自然体験に取り組みやすい仕組みづくりを推進することが大切であります。  そこで、本県の豊かな自然を活用し、夏休みや冬休みに合宿などにより、十分な時間をかけて子供たちの好奇心や探求心、創造性の育成に努めるべきと考えるがどうか、福岡教育長に伺いたいのであります。  また、都市住民、特に都市の子供たちに対する自然体験学習受け皿づくりも必要であります。都会の子供たちが本県の豊かな自然環境の中で農林漁業体験活動を行ったり、本県の伝統的な行事や文化に触れることができるセカンドスクールなどの開設を推進すべきであります。さらに、子供たちばかりではなく、安らぎやゆとりを求めてやってくる都市住民の滞在の場として、例えば廃校など既存のストックを活用して、宿泊体験施設を整備するなどメニューの充実を図らなければなりません。  本県は、恵まれた自然や風土に満ちあふれている自然のメッカであります。県では、北アルプス山麓の自然景観や世界遺産合掌集落の文化資源、八尾のおわらなどの伝統芸能など、さまざまな地域資源の連携を図るとともに、全国にその情報を発信するため、新年度に水と緑といのちの回廊──仮称でありますが、その調査を実施されると聞いております。この調査が、地域資源の連携やその情報発信にとどめるのでなく、都市との交流に活用される仕組みにすべきであります。私は、地域資源が有効に生かされてこそ新たな交流が生まれるのであり、本定例会に提案している都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例の目的が実現されるものと考えます。  そこで、本県の農山漁村地域において新たな交流を生み出すため、県内外の都市住民、特に都市の子供たちが本県の豊かな地域資源を積極的に利用する仕組みを創出すべきと考えるが、どのように取り組もうとしているのか、農林水産部長に伺いたいのであります。  最後は、安全で安心な生活の確立についてであります。  自閉症は、脳の障害が原因とされる発達障害であり、1,000 人に1人程度の割合で発症すると言われております。自閉症児・自閉症者はコミュニケーション能力に問題があったり、特定のことにこだわったりする特有の症状があり、社会生活に支障が出ることが多いのであります。また、自閉症児・自閉症者への接し方を理解している人は少なく、誤解されることが多いため、みずからを傷つけたり、社会に反抗するなどの2次障害に陥る場合もあり、家族の負担は大変大きいのであります。  自閉症については、これまで知的障害者福祉施策の中でサービスが提供されてきましたが、アスペルガー症候群と呼ばれる知的障害を伴わない場合も見られることなどから、関係者は自閉症特有の症状を踏まえた専門的な施策を求めてきたのであります。また、幼児期は福祉施設、学童期は学校、成人期はまた福祉施設と、対応する機関が変わる分業体制は、環境の変化に順応しにくい自閉症児・自閉症者にとって負担が大きいとの声もあるのであります。自閉症児・自閉症者が障害の程度を軽減し、自立した生活を送るためには、乳幼児期から成人期までを一貫して専門的に支援する体制を整備し、福祉施設と学校の連携や生活、就労の支援などを充実することが重要であります。  平成14年度、国の補助事業として、自閉症・発達障害支援センターが12の都道府県で設置されました。我が党は、国の計画段階から本県での設置を求めてきたところであり、本県においても15年度に設置されることとなったのであります。  そこで、自閉症・発達障害支援センターが設置されることとなったが、自閉症特有の障害特性を踏まえ、乳幼児期から成人期までを一貫した専門性の高い支援にどのように取り組むのか、阿部厚生部長に伺いたいのであります。  さて、県内における平成14年の交通事故による死者は78人で、3年連続して減少し、昭和59年以来18年ぶりに70人台となりました。平成13年と比べ10人の減少で、65歳以上の高齢者では9人減りました。これは、飲酒運転の厳罰化や危険運転致死傷罪の新設といった要因のほか、緊急雇用創出特別基金を活用した高齢者交通安全推進員による個別訪問指導など、警察本部を初め交通安全協会など関係機関の交通安全に対する取り組みの成果であると評価するのであります。  しかしながら、本県の交通事故で亡くなった方のうち、高齢者の割合は47.4%で、全国平均の37.8%を大きく上回っており、平成12年の全国ワースト1位、13年のワースト2位よりもよくなったとはいえ、まだ全国ワースト10位なのであります。  高齢者の死者のうち、歩行者事故の8割、自転車事故のほとんどが道路横断中に被害に遭っており、無理な横断が大きな要因ではないかと思うのであります。高齢者など交通弱者の立場から、交通事故減少のためソフト、ハード両面の新しい取り組みが必要であります。私は、例えば側溝などを改修して歩行者空間を確保する道路のフレッシュアップや歩車分離の取り組み、路面電車やコミュニティーバスの利便性の向上なども高齢者の交通安全に寄与すると思うのであります。  そこで、高齢化社会の進展に対応し、高齢者が安心して暮らせる交通環境の整備など、総合的な交通安全対策についてどのように取り組むのか、佐藤警察本部長に伺いたいのであります。  以上をもちまして、自由民主党を代表しての私の総括質問を終わります。 4 ◯議長(竹内弘則君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 5 ◯知事(中沖 豊君)自由民主党を代表されました山辺議員の総括質問にお答えいたします。基本的なことは私から、その他の事項につきましては関係部長等から答弁を申し上げます。  最初は、新時代の行政運営についての御質問でありますが、そのうちの、公的分野におけるNPOの参加を促進するため、協働ガイドラインの策定に当たってはNPOに期待し、開放していく行政の分野を具体化するとともに、NPOの設立支援を強化すべきと考えるが、どのように取り組んでいくのかという御質問にお答えいたします。  今日、地域の課題はますます複雑化、多様化しておりまして、これまでのシステムでは、これらの課題に的確に対応することが困難になってきておるというように思っております。一方、ボランティアやNPOの活動を通じて社会、公共のために役立ちたいという人が増えてきておりまして、特にNPOは、今後の地域づくりの重要な担い手として期待が高まってきております。こうした背景から、行政とNPOがお互いの利点を生かして補完し合えるパートナーシップを構築することは、今後ますます重要になってくると考えております。  このため県におきましては、NPOとの協働を円滑に進める観点から、ボランティア・NPO協働ガイドラインの計画の策定に取り組むこととしたところであります。  その意義でありますが、まず1つには、行政が単独で行うよりも、NPOの特性を生かすことで多様化する県民ニーズに効果的に対応することができること。2つには、県民が主体的に県政へ参加することが重要でありますが、県民とともに住みよい地域社会を築く手法として効果的であること。3つ目には、これらを通じてボランティアやNPOの活動を一層振興することにつながることなどが考えられます。  この協働ガイドラインにおきましては、まずボランティア、NPOとの協働の基本的な考え方や進め方などとともに、協働にふさわしい事業類型、さらには行政とNPOのかかわりや連携の程度に応じた支援のあり方などについても検討を進めたいと考えているのであります。  なお、本県では、幅広い分野でボランティア、NPO活動が展開されておりますが、現状では、NPOの規模、活動実績、事業遂行能力などに大きな差が見られるところであります。したがいまして、いわゆるNPO法の第2条第1項の規定におきましては、12の活動分野が掲げられておりますが、どのような行政分野で協働が可能かにつきましては十分検討していきたいと考えております。  また、あわせて協働の担い手としてのNPOの活動能力を高めていくことも必要でありますから、設立時の支援も含めて十分検討したいと考えております。  2番目の御質問は、産業・雇用問題についてでありますが、まず産業のソフト化、サービス化に対応するため、県としてどのように職業能力開発に取り組むのか。また、その取り組みの実践として、移転改築が検討されている砺波地域の県立職業能力開発センターの訓練科目に反映していく考えはないのかという御質問からお答えいたします。  産業構造がソフト化、サービス化に向かう傾向は、今後一層進展することが見込まれますので、労働者や事業主は経済環境の変化を踏まえながら適切な職業能力開発を行うことが必要でありますし、また公的部門におきましては、そのための支援を行うことが重要であると考えております。  このような観点からこれまでも、県の職業能力開発校におきましては、情報分野や福祉分野の訓練を取り入れてきましたほか、専修学校などの民間教育訓練機関への委託訓練などを導入することによりまして、IT分野の充実を図ってきたところであります。また、平成15年度におきましても、委託訓練の定員を増員するとともに、ITや接客サービスの分野におきまして新しい訓練科目を設けるなどの見直しを行うこととしております。  県としましては、今後の職業能力開発施策のあり方を考えるに当たりましては、時代の変化に的確に対応していく必要があると考えておりますし、また官民の役割分担や職業能力開発に関する他の教育訓練機関との機能分担などに留意して、全県的な視野から検討を加えてまいりたいと考えております。  次に、砺波地域の県立職業能力開発センターについての御質問でありますが、福野職業能力開発センターにおきましても、御案内のようにITや介護福祉の訓練科目を実施しておるところであります。  なお、福野職業能力開発センターの移転改築の問題につきましてはこれまで、専修学校、各種学校や認定職業能力開発校との関係、また砺波地域の高等学校の将来像や生涯学習校との関係などにつきまして検討してきたところであります。今後さらにこの地域の産業構造の変化、訓練ニーズの把握などに努め、今後とも鋭意検討していきたいと考えております。  また、平成15年度、新たに、今後の職業能力開発に関するニーズを把握するための調査を予定しているのでありまして、この調査結果等については、次期の富山県職業能力開発計画に反映させることとしております。  いずれにいたしましても、県としましては、労働者がみずからの職業能力を高めるための努力に対しまして積極的に支援してまいりたいと考えております。  産業・雇用問題の次の課題は、観光の振興についてであります。  本県産業への波及効果が大いに期待される海外からの観光客誘致にどのように取り組むのかという御質問からお答えいたします。  観光産業は、御案内のように雇用の創出や消費の拡大を促進し、21世紀における成長産業であると考えております。先般、国土交通省が公表しました調査結果によりますと、平成13年における旅行消費額は約20兆円であり、これによる生産波及効果は、国内の全産業で約50兆円に及び、また雇用創出効果は約400 万人と試算されております。  県におきましては、観光振興の立場から、学識経験者や観光関係団体などから成る富山県観光戦略会議を設置いたしまして、21世紀における本県の観光振興を推進する具体的な戦略を協議し検討してまいりましたが、その中で国際定期便やチャーター便を活用した環日本海諸国を中心とした国際観光の推進が提言されております。  このため県としましても、海外からの誘客増大を図りますために宣伝活動などを積極的に進めているところであります。具体的に申し上げますと、まず第1に、韓国、中国など環日本海諸国における富山県観光説明会の開催や国際観光旅行博覧会への参加。第2に、国際観光振興会の世界13カ所にある海外観光宣伝事務所や海外のテレビ、新聞等を活用したPR活動の実施。第3に、観光事業者や観光ボランティアを対象とした富山県観光アカデミーによる外国人観光客の受け入れ態勢の整備などであります。  いずれにしましても、これからの観光は、人と自然が共生し、感動を覚える観光県づくりを進めていくことが極めて重要であります。「共生」と「感動」、これを21世紀における本県観光のキーワードにいたしまして、国際観光の振興にも一生懸命に取り組んでまいりたいと考えております。  最後は、教育問題についての御質問であります。  県立学校について、耐震調査の速やかな実施に努めるとともに、耐震補強、改築に当たってはミニ公募債PFI制度なども活用し、着実かつ速やかに実施することが重要と考えるが、どのように取り組んでいくのか。また、小中学校の耐震化の推進について県としてどのように取り組んでいくのかという御質問にお答えいたします。  学校施設につきましては、生徒が一日の大半を過ごす生徒の生活の場であります。また、災害時における地域住民の避難場所として多くの学校が指定されていることもありますので、地震に対する安全性を確認していくことは重要な課題であると認識しております。  このため県におきましては、県立学校の校舎や体育館につきまして、これまでも順次耐震診断を実施し、改築や耐震補強を行ってまいりました。  今後の県立学校の耐震化につきましては、耐震改修促進法に基づきまして、昭和56年以前に建築された建物で、多くの生徒が利用する建物を優先しながら、平成17年度を目途に227 棟程度の耐震診断を計画的に実施することとしております。また、耐震診断を実施した後の改修や改築につきましては、今後、この耐震診断の結果や建物の耐用年数等を総合的に勘案いたしまして、施設整備の優先順位、耐震補強や改築等の整備方法などにつきまして検討していきたいと考えております。  さらに、整備に当たりましては、議員御指摘の資金調達方法の一つであるミニ公募債や民間のノウハウを取り入れたPFI制度の活用なども有効な手段の一つと考えられますので、このような点も含めて十分検討し、耐震補強等に着実に取り組んでまいりたいと考えます。  なお、小中学校の耐震化についての御質問でございますが、市町村に対しまして、耐震診断や補強の優先度の判定方法などにつきまして普及啓発することとしております。  こうしたことなどによりまして、まず平成17年度を目途として耐震診断を計画的に実施すること、また、国庫補助率のかさ上げのある第2次地震防災緊急事業5カ年計画に位置づけられている61校106 棟を整備することなど、耐震化の着実な推進を支援してまいりたいと考えております。  以上であります。 6 ◯議長(竹内弘則君)江畑経営企画部長。    〔経営企画部長江畑賢治君登壇〕 7 ◯経営企画部長(江畑賢治君)新時代の行政運営についての御質問のうち、平成14年度から2カ年を重点推進期間としている外郭団体の見直しについての15年度の具体的な取り組みについての御質問にお答え申し上げます。  外郭団体につきましては、平成14年度、15年度の2カ年間を見直し推進期間といたしまして、関係課から成るプロジェクトチームを設置して、団体の統廃合や業務執行の効率化などに取り組んでいるところであります。  本年4月に県農業公社、県森林公社、県水産公社の統合を初め、類似の業務を行う団体の統廃合を図るなど積極的な見直しを進めてきております。また、県の出資比率が50%以上のすべての団体におきまして、本年4月から県に準じた情報公開制度を実施するということにしておるところでございます。  平成15年度は、見直し推進期間の最終年度でありますことから、外郭団体の組織及び運営全般にわたって見直しを進めることにしております。具体的には、まず第1に、設立目的や業務内容等を踏まえまして、類似の業務を行っている団体の統廃合や事業の移管をさらに進めること。第2に、団体の経営状況を評価する仕組みの導入を進めますとともに、経営状況が厳しい団体におきましては経営改善計画の策定を行いますなど経営内容の見直しを図ること。第3に、住宅供給公社など地方3公社につきまして、業務量や法改正の動向を踏まえ、簡素で効率的な組織や運営を図ること。第4に、団体間の職員交流や研修を充実し、職員の資質向上を図りますとともに、県職員OBの外郭団体への再就職や派遣職員のあり方について検討すること。第5に、文化施設等の運営やイベント等におけるNPO、ボランティアとの協働をさらに推進することなどに重点的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、公の施設のあり方につきましては、御質問にもございましたように、民間企業による管理運営を可能とする地方自治法の改正法案が今国会に提出される予定でございますので、その法改正の趣旨を踏まえまして、施設の管理のあり方について十分検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 8 ◯議長(竹内弘則君)山本商工労働部長。    〔商工労働部長山本勇宰君登壇〕 9 ◯商工労働部長(山本勇宰君)産業・雇用問題についてのうち、まず新世紀産業機構の実績をどのように評価しているのか。また、組織の強化や支援業務の拡充にどのように取り組むのかについてお答えをいたします。  新世紀産業機構は、新たな時代に対応した先端的な研究開発プロジェクトの推進と企業が求める技術、経営、情報等について一元的に相談できる総合的な支援機関として、平成13年4月に発足したところであります。  設立後ほぼ2年を経過するわけでございますが、これまでの実績といたしましては、まず、中小企業の抱える多様な課題に対応するため相談窓口の一元化を図るとともに、技術、経営、金融、IT等の専門相談員を配置し相談指導に努めてきたこと。また、IT、バイオ、深層水等の成長産業の振興を図るため、新産業創出公募事業や産学官連携研究開発プロジェクトにより研究開発を支援してきたこと。さらに、新規創業や既存企業の技術開発、経営革新を促進するため、ベンチャープラザの開催や技術開発助成による支援、専門家派遣事業等を実施してきたことなどであり、新しい産業の芽の育成や県内既存産業の底上げが着実に図られてきており、県としては、期待どおりの成果が上がりつつあるものと理解をしております。  今後とも、事業の効率的、効果的な推進が図られるよう支援協力してまいりたいと考えております。  次に、今後の対応のうち、まず組織面につきましてでございますが、この3月に中小企業再生支援協議会を設置することや、このたび実施地域に選定された知的クラスター創成事業の本部機能を担うことなどに対応できるよう組織体制を強化することとしております。また、事業面につきましては、創業・ベンチャーを推進するため、創業・ベンチャースタートアップ支援事業、インキュベーションマネジャーの設置事業、コミュニティー分野の起業家支援講座を実施すること、物づくり産業における新商品、新技術の開発を促進するため、企業へ専門的技術アドバイザーの長期派遣を行うことなど、新たに支援業務を拡充することとしております。  今後とも、県としては、新世紀産業機構と一体となりまして、本県が有する強みや特色を生かし、県内産業の育成振興を図ってまいりたいと考えております。  次に、観光の振興についてのうち、産業観光の振興に積極的に取り組むべきと考えるがどうかということにお答えをいたします。
     産業観光につきましては、歴史的、文化的価値のある産業文化財を観光資源として人々の交流を促進する観光のことを言い、近年、体験学習の要素も加わった新しい観光の形態として注目されているところでございます。  現在、県内では、高岡の銅器や漆器、井波彫刻、庄川挽物木地、八尾や五箇山の越中和紙などの伝統的工芸品、黒部ダムなど先人の英知と労苦がしのばれる電源開発の歴史、富山のおいしい水や米、海の幸などを生かしたますずしやかまぼこなどの食品関係、全国に知られている「富山のくすり」の製造工場など一部見学や体験ができる施設などがあり、既に産業観光的な取り組みが行われているところであります。そのほかにも、ファスナーやアルミサッシなど日本一のアルミ関連産業、メカトロニクス、バイオ、新素材などの先端技術産業やデザイン、情報などの頭脳集約型産業、特色ある農林水産業など、観光資源となり得る魅力的なものが数多くありますことから、こうした特徴を生かすことができる産業観光は、本県の観光振興を図る上で大変有効であると考えております。  今後、さらに産業観光を推進していくためには、見学体験できる施設の確保など企業側の受け入れ態勢の整備やサービス提供の仕掛けづくり、また産業観光施設を盛り込んだ魅力ある観光モデルコースの開発などが重要であり、県としても、市町村や観光関係団体、旅行業者などと連携しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、市町村観光協会県観光連盟などについて、民間中心の体制へと転換し、あわせて県の支援のあり方を見直すべきと考えるがどうかについてお答えをいたします。  観光産業は、先ほども知事からお答え申し上げたとおり、21世紀における成長産業であることから積極的に推進してまいりたいと考えております。  このためこれまでも、市町村や観光関係団体、民間企業と連携を図りながら、いきいき富山観光キャンペーンなどの観光宣伝事業や魅力あるイベントの企画支援、さらには人材育成など受け入れ態勢の整備にも取り組んできたところであります。その結果、観光客の誘客増大につなげることができたところでございます。  しかしながら、本県の観光関連産業が地域の中核的な産業の一つとして発展していくためには、民間の力の発揮と公的な支援との調和が重要であります。また、推進組織につきましても、県、市町村と民間の連携はもとより、地域の実態に即した方向で、それぞれの事務局組織自体の充実を図ることが今後の課題であるというふうに認識をしております。現在、県内で観光協会の自治体からの独立や法人化に向けた動きが幾つかあります。  県としましては、今後市町村合併の動向なども考慮しながら、県観光連盟等も含めて民間の力が十分に発揮できるような組織体制づくりやその支援方法等について鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 10 ◯議長(竹内弘則君)井田農林水産部長。    〔農林水産部長井田善久君登壇〕 11 ◯農林水産部長(井田善久君)まず、産業・雇用問題についてのうち、新たな食文化を創造するため、本県独自の食材や食品について産学官が一体となった健康機能食品の開発を図るべきと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。  御指摘のとおり、近年、健康志向が高まる中、これに対応して全国的にもさまざまな食品等の開発が進められているところでございます。本県におきましても、地元産の大豆や特用林産物等を活用いたしました加工食品などの研究、また薬業県富山の歴史に培われました技術や海洋深層水を活用した健康機能食品などの研究が、県の試験研究機関や民間企業等においても進められているところでございます。このような取り組みは「くすりの富山」「健康富山」につながるものでありまして、今後一層推進していくことが重要であると考えておるところでございます。  このため、新たに健康づくりに着目した食品開発に向けた調査研究を進めていくこととしておるところでございまして、具体的に申し上げますと、食品研究所伝統医学センター、薬事研究所、県立大学、県食品産業協会など産学官から成ります新たな研究会を設置いたしまして、国内外の伝統的な食文化を背景といたしました食品、食材につきまして調査分析などを行い、有望な食品素材を探索するとともに、その素材を活用した食品開発に向けた研究を行うことにしておるところでございます。その研究成果を踏まえまして、民間企業等での新たな機能性食品の商品化に結びつけていくことにしておるところでございます。  また、県内のすぐれた食文化を紹介するとやま食文化マップやホームページの作成など、県内外に広く富山の食文化を情報発信することなどに取り組んでいくことにしております。  いずれにいたしましても、健康富山の創造に向けまして、産学官が一体となって食品開発等を進めまして、富山ならではの食文化の創造や情報発信につながるよう努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  次に、教育問題についてのうち、本県の農山漁村地域における新たな交流を生み出すため、県内外の都市住民、特に都市の子供たちが本県の豊かな地域資源を積極的に利用できる仕組みが重要と考えるが、どのように取り組もうとしているのかという御質問にお答えいたします。  本県の豊かな自然や美しい農村景観などの魅力ある地域資源を都市の子供たちの自然体験学習の場として積極的に活用し交流を進めることは、子供の豊かな情操をはぐくむとともに、地域コミュニティーの形成にもつながるものでありまして、農山漁村の活性化に極めて有効な方策であると考えているところでございます。  このため県といたしましては、子供たちの体験学習の仕組みづくりを検討するため、体験学習推進チームを設置するなど積極的に取り組んでいるところでございます。具体的に申し上げますと、用水路を活用した自然体験学習場所の提供や、里山林での植樹や自然観察会、木工体験などを内容とした森林教室の開催などに取り組んでおるところでございます。また、利賀村における東京の武蔵野市内の小学校との交流事業や八尾町におきます棚田の学校などの市町村の取り組みに対しましても助成しておるところでございます。  15年度につきましては新たに、小中学校の教員、PTA、公民館指導員を対象といたしました農林漁業体験バスツアーを指導する人材を育成するための体験指導員研修会の開催や、県産材を活用いたしました親子による木の城づくりなどに取り組むこととしておるところでございます。今議会で議員提案されました都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例におきましても、農林業や自然体験学習等への支援がうたわれておるところでございます。  いずれにいたしましても、子供たちの体験学習を進めることは、農山漁村の活性化にとっても極めて有効な方策でありまして、今後とも市町村や観光関係機関などとの連携を深めまして、都市の子供たちとの交流を積極的に推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。 12 ◯議長(竹内弘則君)福岡教育長。    〔教育長福岡 隆君登壇〕 13 ◯教育長(福岡 隆君)教育問題に関しまして、子供たちの好奇心、探究心、創造性の育成にさらに努めるべきだとの御提案にお答えをいたします。  子供たちにとって自然体験は、自然の厳しさや自然の恵みを知る、また動植物に対する愛情を培う、さらに子供たちの感性、好奇心、探究心、創造性を養う、そして何よりも健康でたくましい体をつくるために有効であると考えておるところであります。  現在、県内各地で週末や長期休業期間中に、水と緑に恵まれた本県の自然を活用いたしまして、子供たちは自然体験活動を広く展開しておるのであります。例えば、県が夏休み期間中に2泊3日で実施しております12歳立山夢登山や、特定の市町村ではございますが、国の補助を受けて少年自然の家やキャンプ場などを拠点に約2週間にわたって実施している長期自然体験活動、またボーイスカウトやガールスカウトの皆さんが夏休みに3泊程度の日程で行っておりますサマーキャンプ、また、2日間の日程ではありますが、冬季に雪の上でキャンプを行いますスノーキャンプ、さらに、少年自然の家や青少年の家、ねいの里などで1泊2日あるいは日帰りで実施しているものもございますが、自然を学ぶ体験ツアーや動植物の観察会など、工夫を凝らしたさまざまな活動が実施されているのであります。  そして、このように県内各地で実施されております多岐にわたる体験活動を「豊かな心」「たくましい体」「優れた知性」という柱立てをいたしまして、体系化をいたしまして子ども元気活動支援センターを中心に、インターネットやパンフレットなどで情報提供に努めているところであります。  また、15年度に県が実施する体験活動につきましては、現在その取りまとめを急いでいるところでありまして、御指摘の趣旨を踏まえまして、新年度早々に市町村、学校、団体など各方面に広く周知できるように努めてまいりたいと存じます。  いずれにいたしましても、生き生きとした体験活動が各地で展開できるように、家庭、学校、地域の連携に努めまして、ボーイスカウトやガールスカウトなどの社会教育団体、さらには地域のボランティアの皆さんなど多くの方々の協力もお願いしてまいりたいと存じます。 14 ◯議長(竹内弘則君)阿部厚生部長。    〔厚生部長阿部重一君登壇〕 15 ◯厚生部長(阿部重一君)安全で安心な生活の確立についてのうち、自閉症特有の障害特性を踏まえ、乳幼児期から成人期まで一貫した専門性の高い支援にどのように取り組むのかという御質問にお答えをいたします。  自閉症につきましては、現在、1歳半または3歳児健診におきまして自閉傾向を持つ児童が発見された場合に、高志通園センターまたは高岡市きずな学園で医学的診断を受けまして、そこで就学までの間必要な療育と訓練を受けております。また、就学後は、教育現場で指導訓練を受けますほか、必要に応じて総合教育センターなどの指導を受けております。養護学校高等部を卒業いたしますと、一部は就労しておりますが、多くはめひの野園などの知的障害者施設に入所または通所いたしまして、生活訓練や作業訓練を受けて社会的自立を目指しているわけでございます。  このようなことから、本県が15年度に導入を目指しております自閉症・発達障害支援センター運営事業につきましては、乳幼児期から学齢期、成人期までの一貫した総合的な支援体制を確立するため、これまでに多くの実績や高いノウハウを持つ高志通園センターとめひの野園が連携協力して、そのセンターの中心となり、運営していくことが最も効果的であると考えております。  具体的に申しますと、医療型福祉施設でございます高志通園センターでは、主に乳幼児期から小学生までの自閉症児を対象にいたしまして、診断、訓練、相談、生活指導の面を担当することとしているところでございます。一方、自閉症者中心の入所通所施設でございますめひの野園では、主に思春期から成人期の自閉症児者を対象にしまして、相談、生活指導や就労支援面を担当することとしております。両施設がケースカンファレンスを共同で行うなどいたしまして、支援の一貫性を確保していくこととしているところでございます。  また、各発達段階におきまして、保健、医療、福祉、教育、就労などの関係機関・施設や保護者などが情報交換や連携協力を行うため、高志通園センターが中心となりまして、年数回、定期的に連絡会議を開催することとしております。  県としましては、この支援センター事業の導入によりまして、自閉症児者及びその御家族に対しまして、ライフステージ全般を通して一貫性のある総合的な支援を行い、自閉症児者に対する正しい理解が深まり、自閉症児者の自立と社会参加が一層促進されますよう努めてまいる所存でございます。  以上でございます。 16 ◯議長(竹内弘則君)佐藤警察本部長。    〔警察本部長佐藤源和君登壇〕 17 ◯警察本部長(佐藤源和君)高齢者が安心して暮らせる交通環境の整備など、総合的な交通安全対策についての御質問にお答えをいたします。  最初に、昨日現在の県内におきます交通事故の数字につきまして、一言触れたいと思います。  昨日現在で、県内では1,423 件の交通事故が発生しておりまして、亡くなられた方が10名、けがをされた方が1,697 人でございまして、前年同期に比較しますと、発生件数ではマイナス52、亡くなられた方ではマイナス2人、けがをされた方ではマイナス36人といずれも減少はしておりますものの、亡くなられた方10人の中で6人の方、つまり6割が高齢者の方でございまして、全国平均を大きく上回りました。依然として、この分野では厳しい状況が続いている状況でございます。  高齢者、つまり65歳以上の方といいますのは、食べる物も着る物も満足になかった戦後の大混乱の中で、働きづめに働き、大変な苦労を重ねて今日の豊かな日本の基礎を築いてこられた方々であります。こうした方々には、これから少しはゆっくり過ごしていただきたいと願っておりますときに、交通事故で命を失うというのは、あまりにも悲しくむごいことであります。  県警察では、こうした高齢者の方が被害者となる交通事故の防止を最重要課題と位置づけまして、ソフト、ハードの両面から防止対策を強力に推進しているところであります。  まず、ソフト面では、高齢者宅を直接訪問して交通事故防止を呼びかける高齢者世帯訪問事業のほかに、関係機関・団体と連携し、全国初の高齢者交通安全県民大会や高齢者の交通事故防止対策推進県民会議などを開催してきたところであります。また、本年3月5日には、高齢者の方々の意見を今後の施策に反映させるために、本県初の試みとして、県下全市町村の老人クラブの代表者の方に集まっていただきまして、老人クラブ代表者と語る会を開催し、いろいろ貴重な御意見をいただいたところであります。  今後は、新たに緊急地域雇用創出特別基金を活用した交通安全教育推進事業により、交通安全教育推進員が高齢者の集まる老人福祉施設などへ積極的に出向き、出前型の交通安全教育や反射材貼付活動などを推進するほかに、議員御指摘の道路横断中の交通事故防止対策として、高齢者が映像と音により道路横断の疑似体験ができる高齢者歩行教育システムを導入するなど、より一層高齢者の交通安全意識の高揚を図りたいと考えているところであります。  なお、来る県警の春の人事異動におきましては、交通企画課の交通総合対策室に高齢者交通安全係を新設し、体制の強化を図ることといたしております。  一方、ハード面ではこれまで、高齢者の心身の特性に着目するとともに、交通量や道路横断の実態を見ながら、横断歩道、押しボタン信号機、青の時間を長くできる弱者感応式信号機などの整備に努めてきたところであります。  今後は、新たに歩行者と自転車利用者の安全を確保するためのあんしん歩行エリアを計画的に推進することとしております。その具体的な内容としては、夜間の横断歩道において、横断歩行者をセンサーが感知すればぱっと照明が点灯する照明灯つき横断歩道標識、太陽光線の西日による信号機の表示の見間違いをなくする発光ダイオード式の信号灯機、夜間でもよく見えるように反射度を高めた道路標識や道路標示などの整備であります。  また、高齢者が安心して暮らせる交通環境の整備に向けて、道路管理者などとも連携しながら、総合的な交通安全対策を計画的に推進し、高齢者の方が被害者となる悲惨な交通事故の防止により一層力を入れて取り組んでまいる所存であります。 18 ◯議長(竹内弘則君)山辺美嗣君。    〔15番山辺美嗣君登壇〕 19 ◯15番(山辺美嗣君)1問再質問をいたします。  富山県観光連盟について、もっと民間の主体的な参加を求めて組織を改めるべきだという質問をしたわけでありますが、山本商工労働部長からは、「鋭意検討していきます」というまことに簡素な答弁をいただいたわけであります。切って捨てたような答弁に満足できないわけでありますが、記憶するところを紹介しますと、社団法人富山県観光連盟は、会長が商工会議所連合会の八嶋会長さん、事務局長が出向している県職員、そして理事を構成しているのは、観光事業者の代表の方、それから商工会議所、商工会あるいは各地の観光協会、あるいは市町村、そういったところで構成されているのが社団法人富山県観光連盟であるわけですが、どこにその事務所があるかというと、県庁内の観光課の入り口に木の看板で「富山県観光連盟」と書いてあるわけですね。  まず、部長に伺いたいんですが、1日あるいは1週間、一月でもいいんですけども、一体何人の関係者の方が富山県観光連盟の事務所を訪れて、本県の観光振興について議論し、あるいは情報を求めていらっしゃるのかということです。私は、廊下を歩きましても、あのドアをあけて入って行く人を見たことがないというふうに思います。それが第1点でありますので、そういう観点から考えますと、やはり本県の官民の観光関係者がもっと入りやすく、議論しやすいところにまず設置すべきだし、そのために民間が自主的にやってくるというのは、お金を出してこそ初めておれたちの仕事だということで来るわけですから、もっと事業費に民間の資金を入れるべきだと思います。  山本部長には、県観光連盟の事業費のうち、県の負担がどの程度の割合で、民間の拠出がどれくらいあるのか、それもお答えいただきたいと思うわけです。  そういう意味で、批判しているわけではなくて、本県の観光振興に大変重要な団体でございますから、もっと力強くやっていただきたいと、そんな思いで質問をしたわけであります。山本部長の「鋭意検討」では非常に寂しいもんですから、知事からも力強い答弁をいただきたいと思います。  以上、再質問をいたします。 20 ◯議長(竹内弘則君)山本商工労働部長。    〔商工労働部長山本勇宰君登壇〕 21 ◯商工労働部長(山本勇宰君)先ほどもお答えをしたところでございますけども、本県の観光産業の実態を眺めてみますと、将来的に発展していく場合には、基盤としては民間の力の発揮と公的な支援というのが相まって初めて動いていくということだと理解しております。  現在の観光事業につきましては、観光連盟、いきいき観光キャンペーン推進協議会、それから県の観光課が統括的な、本部的な機能を担っております。財政的にも県あるいは市町村が主体的に動いているような傾向がございまして、これからのことを考えていく場合には、やはり民間がそれ相当の役割を担うことが必要であろうというふうに考えております。  ただ、観光産業につきましては、関連産業のすそ野が極めて広いという実態がございます。そういったことも踏まえますと、どういった組織づくりをして、その産業がどのように育っていくのかといったことも見きわめながら組織のあり方を考えていく必要があるだろうと思っております。  広く観光にかかわる人たちが県の観光連盟に出入りできるようにするということは、そういったものの考え方の前提としては大変重要なことだというふうに考えておりまして、できるだけ早く県の庁舎の中から自立できるような方向で準備を進めていきたいというふうに考えておりますし、事業の中身も民間の協力をいただけるような形で進めながら、順次民間主体に移行できるように取り組んでまいりたいということで、そのための対応をどうするかということを鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。 22 ◯議長(竹内弘則君)暫時休憩いたします。  午前11時34分休憩      ─────────────────────  午後1時06分休憩 23 ◯議長(竹内弘則君)小川晃君。    〔13番小川 晃君登壇〕 24 ◯13番(小川 晃君)私は、社会民主党を代表して総括質問を行います。  最初に、小泉内閣の政策についてお尋ねをいたします。  まず、イラク問題についてであります。  この問題については、さきの代表質問で我が党の菅沢議員が質問したところでございますが、事の重大性から、その後の推移を踏まえ、改めて知事にお尋ねをいたします。  イラクが有している大量破壊兵器を国連の決議に従って廃棄することは当然であり、既にイラクはそれに着手しているとの国連査察団の報告が出されてきています。また、フランス、ドイツ、ロシアなどからは、査察を継続して平和的にこの問題を解決しようとの動きが強まっています。しかし、ブッシュ・アメリカ大統領は、国連の決議なしでも攻撃を強行する意思をあらわにし、これに反対するデモや集会が世界各地でほうはいとして広がり、我が国内でも拡大してきています。こうしたイラク攻撃反対運動の広がりを受けて、アメリカの盟友とされていたイギリスも査察の延長を提言し、イラク攻撃強行の意思をあらわにしているアメリカ・ブッシュ政権との違いが次第に明らかになってきました。  このように、国連での決議なしでもイラク攻撃を強行しようとするアメリカ・ブッシュ政権は世界から孤立しつつあります。しかるに、小泉政権は、アメリカがイラク攻撃を強行しようとしていることをやめさせようとする言動はなく、事実上、アメリカの攻撃を容認することを明らかにしています。これが戦争放棄を定めた平和憲法を有する国の総理大臣かと、嘆かずにはいられません。  アメリカのイラク攻撃に反対する国は、アラブ諸国を初め全世界に広がってきています。アメリカ国内でもイラク攻撃に反対する声は日増しに高まっています。そしてイラク情勢の緊迫化は、国内の株価が一時 8,000円台を割り込むバブル以降の最安値を記録するなど、国内経済にも深刻な影響を与えてきています。戦争ともなれば、原油の引き上げなどとあわせ影響はさらに深刻になると危惧します。こうした点からも、アメリカのイラク攻撃は何としても阻止しなくてはなりません。  知事は我が党の代表質問に、「イラク問題は、武力行使を急がず査察を徹底するなどで平和的、外交的手段で解決すべき」とお答えになっています。この答弁を私たちも評価します。立派な答弁です。そこで、知事におかれては、この答弁を踏まえ、小泉総理にアメリカのイラク攻撃は思いとどまるよう働きかけるよう申し入れられるべきと思うがどうか、御所見をお尋ねいたします。  次に、小泉総理は「構造改革なくして景気回復なし」と、就任以来一貫して言明し、構造改革推進に躍起となっています。しかし景気は一向によくならず、雇用も改善されてきていません。県民世論調査でも、要望の第1位が景気回復、第2位が雇用対策となっています。  私は、構造改革ばかり声高に叫んで国民に痛みを押しつける小泉政権の経済政策は完全に行き詰まっていると思います。この際、思い切った、地方を主体にして地域がやる気を起こさせる政策こそ必要と思います。  具体的には、本県でも既に取り組まれているITやバイオなどの新産業をもっと強力に推進すること、また経済効果や雇用効果が高い福祉や環境産業を育成すること、そして物づくりを中心とする伝統産業や地場産業を振興することなどであります。小泉内閣がもっと地方に目を向け、地方から元気が出るような施策を強めるよう働きかけるべきと思うがどうか、御所見を承りたいと思います。  小泉内閣による構造改革は、民間でできるものは民間でと民営化を強力に推進しています。民営化の論理は、競争することが生産性を高め、社会を進展させ、人々を幸せにするというところにあると考えます。しかし近年、アメリカなどからの要求による規制緩和や自由化が競争の激化を招き、そのことが経済不況や雇用不安を増大しているのじゃないでしょうか。  また、不況のもう1つの要因は、バブルに踊った金融機関やゼネコンなどが投機に失敗し、多額の不良債権を抱え込んだことにあるのじゃないでしょうか。さらに、民間企業における牛肉の偽装事件や原子力発電所のひび割れ隠し、保守政治家への見返りを求めた政治献金など、一部企業のモラルハザードは目に余るものがあります。  数年前、私たちはニュージーランドを訪れた際、ニュージーランド労働党の国会議員と懇談したことがございます。その際、ニュージーランド労働党政権は大規模な民営化を進めたが、教育や郵政などではあまりにも影響が大き過ぎて公営化に戻していると発言されたことを鮮明に記憶しています。過ぎたるは及ばざるがごとしであります。  私はこの際、公と民の仕分けをきちんとすることが必要と思います。福祉や教育、環境など競争原理になじまないものは公で保障すべきと考えますがどうか、御所見を求めます。  質問の2点目は、地方自治のあり方についてであります。  地方分権一括法が成立してから2年になります。それまで中央政府と地方自治体の間にあった上下主従関係が改められ、対等・平等の関係になることが法律で明示されたことで、地方自治の進展に明るさが見えたかに思えましたが、現実にはまだまだそうなっていないんじゃないでしょうか。  例えば、年末の国の予算編成時には、相変わらず地方からの陳情団が永田町や霞が関かいわいをにぎわしています。都市再生のために、あるいは過疎地帯の振興のために、福祉施設の設置のためになどなど、地方自治体の代表は中央省庁を走り回り、ひたすらお上にお願いをするのであります。また、都道府県の部長や課長には依然として中央省庁からの出向者、いわゆる天下りの人が多いことも気にかかります。時として、県は中央政府の出先機関ではないかと思われるほどであります。  こうした現況を見るとき、地方分権一括法施行後も地方自治はあまり進展していないのじゃないかと思われるのですがどうか、このことについて御所見を求めます。  国は、全国の市町村を 1,000にすることを目指し、特例債などをえさに市町村合併を強力に進めようとしています。しかし、国などが進めようとしている市町村合併は、行政効率化の面からのみ追求されている嫌いがあり、真の地方自治、住民自治推進の視点が欠落しているのではないかとの指摘があります。こうした合併を半ば強要する国の動きに対し、市町村の中からは、自治を奪うものと合併しない宣言をする市町村も少なからず出始めてきています。  去る2月25日、東京で開催された町村自治確立総決起大会で、主催者を代表してあいさつに立った山本文男全国町村会会長は、「今回ほど町村が存亡の危機に立たされたときはない。地方制度調査会は一定人口規模未満の町村の解消をねらいとする私案を提示している。これまで国の発展のためにいささかなりとも尽くしてきた我々町村に対する配慮をみじんも示さず、町村の自治を行財政の両面から危機に追い込むものである」との趣旨の訴えを行っています。  小さな村でも、本県の舟橋村は図書館の貸し出し率は日本一、長野県の泰阜村という小さい村は徹底した地域医療保険政策を進め、国民健康保険税が県下で最も安く抑えられているなど、小さな村であるがゆえに、大きな市などがやれないすばらしいことをやっているところも少なくないのであります。  知事はかねてから、合併する市町村も合併しないところも支援していくと言明してこられました。しかし、合併しない市町村には交付税の削減などで今までどおりの行財政運営ができなくなることが問題であります。合併しない市町村がこうむらざるを得ない不利益や障害を取り除くことが必要でないでしょうか。合併しない自治体に対する格別の配慮が求められると思うのですがどうか、お尋ねします。  次に、地方自治に逆行する動きの一つに、職業安定業務が国に一元化されたことが指摘されます。今日、不況による雇用不安が拡大している一方で、職安(ハローワーク)には人の行列が絶えません。県民の生活に最も密着した職業安定業務は県の業務とするよう、その業務の移管を国に求めていくべきと思うがどうか、お尋ねします。  この質問の最後に、国の税財源の移譲についてであります。  知事はかねてから国の税財源の地方移譲を主張してこられました。この主張に私たちは全面的に賛同します。真の地方自治の進展のためにも、税財源の地方移譲をさらに強く働きかけるべきと思います。このことについて知事の決意を改めてお伺いをいたします。  質問の3点目は、まちづくりについてであります。  どの市町村でもまちづくりは大きな課題であります。私の住む高岡の市街化区域の中では、民間デベロッパーなどによる宅地開発があちこちで進められ、まちのスプロール化が進行しているところが少なからずあります。こうしたところでは、行きどまりのところが多かったり、公園などもなく、無秩序な潤いのないまちとなってきています。
     まちづくりは百年の大計であり、ユニバーサルデザインや水辺空間などにも配慮した、将来を見通した明確なまちづくりの指針を策定すべきと思うがどうか、お尋ねをいたします。  秩序あるまちづくりの手法に区画整理事業があります。区画整理事業は、換地と減歩という手法を用いて区域内に区画道路や公園などを配置するもので、県内でもあちこちで進められています。しかし近年、地価の下落はこの事業の進行を困難なものにしています。特に多くの組合施行の区画整理事業などでは、保留地の用地売却による事業費確保が難しくなってきていることから、関係者の苦悩は大変大きいものがあります。  私はこうした状況からも、区画整理事業を県や関係市町村がもっと強力にバックアップすることを求めるものであります。このことについて土木部長の前向きの答弁を求めるものであります。  次に、治水対策についてお尋ねをいたします。  これまでの治水対策は、洪水を早く海に流すことを基本に、川を真っすぐにして堤防を強化し、上流にダムをつくることを基本としてきました。そして今日、このような従来の治水方針、すなわちひたすら洪水を川に押し込めようとした発想の転換が求められています。  国土交通省の社会資本整備審議会が出した答申は、川があふれることを前提に流域全体で治水を進めるべきとの趣旨の内容となっています。具体的には、霞堤や水害防備林を川沿いに設けるといった手法の復活を求めているのであります。また都市部では、まちをコンクリートで覆い、雨水を下水道で大量に川へ流してきたことが、水をあふれさせ、浸水の要因となっているのではないでしょうか。  私たちはかねてから不要不急のダムの見直しを求めてきました。その結果、早月ダム、片貝ダム、百瀬ダムなど7つのダムが休止または中止となってきました。この英断を高く評価するところであります。そして、これらの河川の治水については、この社会資本整備審議会の答申を参考にしながら、森林の保全、遊水池の設定、雨水の地下浸透の促進など総合的に検討して取り組むべきと思うがどうか、御所見を承りたいと思います。  次に、福祉政策についてお尋ねをいたします。  去る2月24日、富山県民福祉条例に基づき、福祉に関する基本的かつ総合的な施策の大綱を示す計画として、富山県民福祉基本計画が富山県社会福祉審議会から知事に答申されました。答申は、「元気・しあわせ社会“福祉とやま”の創造」を計画の目標とし、「参加による福祉の人づくり」「人にやさしい福祉のまちづくり」「安心できる福祉のネットワークづくり」を施策の柱とされており、市町村地域福祉計画を支援する計画としての性格をもあわせ持つものとされています。この福祉基本計画の推進が県民福祉を大きく前進させることになることを期待するものであります。  また、答申とあわせて意見具申された県民福祉基本計画推進プロジェクトは、平成15年度から17年度の3カ年間に、地域が主体となったケアシステム推進事業の実施やユニバーサルデザインの推進、富山県地域総合福祉推進体制の整備など、私たちが提起したことも盛り込まれており、評価するものであります。  そこで、この富山県民福祉基本計画及び県民福祉基本計画推進プロジェクトをどう積極的に取り組み、推進されようとしているのか、知事の決意のほどをお尋ねするものであります。  次に、この県民福祉基本計画推進プロジェクトに基づき、新年度予算に地域総合福祉活動支援事業として新たに、ケアネット型をモデル事業として40地区で実施する予算が計上されました。この事業は、私も視察した茨城県で先進的に取り組まれており、地域の要介護の高齢者などをヘルパーや医師、民生委員などでチームを組んでサポートするもので、茨城県ではこのチームが県下一円に張りめぐらされております。  そこで、このケアネット型を本県ではどう推進しようとするのか、お尋ねをするものであります。  国の新障害者基本計画策定を受け、平成15年中にとやま障害者プランを見直すことになっています。そこでこの際、ノーマライゼーションを一層推進するため、障害者を地域で支える施策を積極的に進めるべきと思いますがどうか、お尋ねをいたします。  障害者を地域で支えるためには、障害者雇用促進法に基づいて障害者の就労を推進すること、また就労できない人のために小規模通所授産施設、小規模作業所などの設置、そしてグループホームを設置することが求められます。このほかにもホームヘルプサービスの拡充などがあります。  本県の知的障害者に関しては、一般の企業・事業所への就労は、企業・事業所の無理解もあり、全く不十分であります。授産施設や小規模作業所は近年かなり整備されてきていますが、グループホームやホームヘルプサービスは不十分です。県内には現在、知的障害者のためのグループホームは8カ所設置され、36人が入所していますが、これは全国の59都道府県・政令都市の中では56位の低位にあります。また、身体障害者のためのホームヘルプサービスも全国53位と落ち込んでおり、こうした面では立ちおくれが目立ちます。思い切った改善策を求めるものですがどうか、お尋ねをします。  精神障害者についても、病院から地域へのノーマライゼーションを実践することが求められていますが、一般企業・事業所への就労は不十分であり、また共同作業所、グループホーム、ホームヘルプサービスの拡充が求められていると思いますがどうか、あわせてお尋ねをいたします。  ジョブコーチ支援事業についてお尋ねします。  この事業は、障害者が職場に円滑に適応し、安定した職業生活が送れるようにするため、職場適応援助者、いわゆるジョブコーチが障害者やその家族、事業主に対して人的支援を実施する事業で、今年から新規事業としてスタートしたもので、県内では現在10名のジョブコーチが配置されています。ジョブコーチは、雇用された障害者と雇用した事業主の間に立って、双方のコミュニケーションがスムーズにいき、障害者が仕事に適応できるよう支援するもので、今日まで、障害者が就業しても人間関係や能率の関係で仕事を継続できないケースが多くあるだけに、この事業はタイムリーであると思います。しかし、この事業の存在については知らない人も多く、その利用はこれからだと思いますし、その増員も求められます。  このジョブコーチ制度のニーズをどう把握されているか。また、今後このジョブコーチを増員していく計画はあるのか、お尋ねをします。  先日私は、高岡市内の聴覚障害者のグループと、手話通訳者のサポートのもと交流する機会がありました。その際要望されたのは、県内での聴覚障害者センター(仮称)の設置、そして手話通訳者の養成と専任手話通訳者の配置などでありました。特に今、県内で専任の手話通訳者はほとんどなく、ボランティア的に通訳する人への処遇も不十分なものだと指摘がありました。  県内に聴覚障害者は7,000 人以上存在します。こうした人たちのためにも、聴覚障害者センターの設置及び手話通訳者の育成を願うものでありますがどうか、お尋ねをいたします。  次に、県内の大学問題についてお尋ねをします。  現在県内には3つの国立大学と県立大学、そして3つの私立大学があります。これら大学は、地域の経済発展に寄与しているだけでなく、県内に知識や文化を発信する場としても重要な役割を果たしています。また、県内の若者の県外流出を防止する役割も果たしてきています。しかし近年、少子化の影響などで大学を取り巻く環境は厳しくなってきています。特に私立大学は、全国的にはその4分の1が経営赤字になっていると聞きます。  こうした状況の中でも、県内の私立大学の育成は重要な課題であると思います。県として、私立大学当局や関係自治体と緊密な連携のもと、私立大学が魅力あるものになるよう施策を講ずるべきと思うがどうか、お尋ねをいたします。  次に、県内の国立3大学の統合についてお尋ねします。  文部科学省は、平成13年6月、国立大学の構造改革の方針を打ち出し、その中で国立大学を独立行政法人化して再編することを明らかにしました。そして、目下県内の3つの国立大学の改革再編の検討が3大学間で行われています。  私は、国立大学の独立法人化は、コスト削減や産学官連携による研究費調達など経営努力が強いられることから、学問の自由を疎外するおそれがあり、地方の大学に市場原理の適用はふさわしくないとの趣旨の発言を本会議の場で行ったことがあります。そもそも3つの大学にはそれぞれの歴史があり、地域との結びつきがあります。例えば国立高岡短大は富山大学工学部の代替として設置されたもので、高岡の地場産業の銅器などと深く結びついた学部を有しています。こうしたことから、3大学統合再編に当たっては、それぞれのキャンパスを残し、学生数も減らさないことを原則とすべきと思います。  そこで、これら3大学の統合再編に向けての現在までの取り組みと県としての対応について御所見を問うものであります。  質問の最後に、ダム排砂による漁業への影響についてお尋ねをいたします。  平成3年に関西電力出し平ダムの排砂ゲートから行われた排砂は、大量のヘドロを富山湾に流し込み、黒部川河口沿岸の漁業に大きなダメージを与えました。その後も試験排砂が2回、緊急排砂が3回、通常排砂が2回、宇奈月ダムとの連携排砂が2回行われてきたのですが、平成3年の排砂以外はヘドロは流出しておらず、漁業被害は与えていないと関電側は主張しています。これに対して入善、朝日の刺し網漁民などからは、一連の排砂で漁獲量が激減し、養殖ワカメが全滅したなどの訴えがなされ、損害賠償を求める訴訟が起こされ、2月にも第1回口頭弁論が行われたところであります。  私は、平成3年の排砂以降の排砂で漁業被害が出ていないと断定することは、刺し網業者などの証言からも無理があるのではないかと思います。農林水産部長、あなたは現実に被害を訴えている漁民の声を聞いたことがありますか。ヒラメやクルマエビ、キスなどの漁獲量が激減し、ワカメが全滅したという悲痛な叫びを上げている漁民の声に耳を傾け、その上で対応策を考えるべきではないでしょうか。排砂による漁業への影響をどのように認識されているのか、お尋ねをいたします。  平成3年の排砂により漁業に被害を与えたとして関西電力は、平成8年9月、富山県漁連に25億円の漁業振興対策費及び4億 8,000万円の漁業補償金、総額29億 8,000万円もの巨費を支払ったのであります。この29億 8,000万円のお金の使途について県漁連は、入善町、黒部市、朝日町の1市2町に8億円を寄附したほか、県漁連特別会計7億 3,000万円余、漁業補償金4億 8,000万円、うち関係漁業者に3億 5,100万円、関係漁協に1億 454万円など配分したことを明らかにしています。  問題は、県漁連が直接被害をこうむった漁民には3億 5,000万円しか配分せず、これら漁民に配分する際は、「今後、将来、理由のいかんを問わず、県漁連及び関電に対して一切請求・異議をなさないことを確認する」との領収書兼確認書が出されていることであります。今後関電の排砂により被害が出ても文句を言わせないという文言であります。こうしたやり方は正当なのでしょうか、適法なのでしょうか、農林水産部長の見解を求めます。  以上のことを踏まえ、平成8年9月に関西電力が県漁連に支払った漁業振興対策費と漁業補償金の配分は適正だったのか。支払い額や配分についての内容を開示するよう求める関係漁協と誠意ある話し合いをするよう県漁連を指導すべきと思うがどうか、あわせてお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。 25 ◯議長(竹内弘則君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 26 ◯知事(中沖 豊君)社民党を代表されました小川議員の総括質問にお答えいたします。基本的な問題は私から、その他の事項は関係部長等から答弁を申し上げます。  最初は、小泉内閣の政策についての御質問でありますが、米国のイラク攻撃について明確に反対を表明し、小泉内閣にその意思を伝えるべきと思うがどうかという御質問からお答えいたします。  イラク問題につきましては、これは大変難しい問題でありますが、御案内のように、現在緊迫した状況を迎えております。先日の代表質問におきまして申し上げましたが、私としましては、現在は米、英も武力行使を急がず、査察を徹底させる必要があり、できる限り平和的、外交的手段による解決に努めるべきであると考えているところであります。  このような私なりの考えもあるわけでありますが、この問題は何よりも外交というまさに国政の根幹にかかわる重要事項でありますし、また現在国会開会中でもありますので、やはり基本的には国政の場におきまして十二分に議論されるべきものであると考えております。  いずれにいたしましても、イラクの大量破壊兵器の保有を許さないという点では、国際社会は一致しておるところでありまして、私としましては、イラク問題が国際社会の協調により平和裏に解決されることを心から望んでいることを改めて申し上げたいと存じます。  次の御質問は、地方自治のあり方についての御質問でありますが、そのうち、まず、地方分権一括法が施行されて2年余になるけれども、陳情行政や天下り人事が行われるなど実質的な地方分権は進んでいないと思うがどうかという御質問であります。  地方分権一括法の施行によりまして機関委任事務が廃止されるなど、国と地方は対等・協力の関係に位置づけられたところであります。しかしながら、御承知のように、税財源の移譲など地方が自主性、自立性を発揮する分権型社会の構築にはまだ多くの課題が残されておると思っております。このような中で地方が個性豊かな魅力ある地域づくりに取り組みますためには、国に対しましてさまざまな提言を行っていくことが必要であります。  こうしたことから県としましては、事業採択や箇所づけなどの事業要望にかわりまして、地方からの制度、政策を提案する制度要望を重視するとともに、その内容の重点化、そして年末などには政府予算対策本部を東京事務所に設置しておりますけれども、その廃止などの簡素化に努めているところであります。  また、行政運営のかなめは、これは言うまでもなく人でありまして、地方分権を進めるためにもさらに優秀な人材の確保や登用が重要でありまして、地元の優秀な職員の登用などを積極的に行っております。ただ、非常に高度複雑化している県政の重要課題や試験研究分野における先端技術などに的確に対処する必要もあるわけでありまして、適時適切に非常に優秀な人材を中央省庁など広く各方面から招くことも必要であると考えております。  なお、こうした分野でもやはり地元職員の確保養成に努めていくことが大事でありまして、そのような努力をしておりますが、中央省庁からの職員につきましては、これは減らしていく方向で努力しているということを申し上げておきます。  いずれにいたしましても、地方分権の立場から、税財源の移譲など国への積極的な働きかけや要望を行いますとともに、優秀な地元職員の確保・登用につきまして、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  地方自治のあり方についての次の問題は、実質的な地方分権を実現するため、十分な税財源の地方移譲について国に強く働きかけるべきであると思うが決意はどうかという御質問であります。  私はかねてから、地域づくりは住民が主役であり、地方が主役であるという地方集権の考え方を提唱してまいりましたが、これを推進し、真に実効あるものとするためには、何よりもやはり地方税財源の充実強化が最も重要な課題になるわけであります。  これを実現するためには、まず地方税の充実を進める必要がありますが、所得税や消費税の移譲など、地方における税源の偏在が少なく、また安定的な税収を確保できる仕組みとすることが必要であります。さらに、地方交付税につきましては、一定水準の行政の計画的な運営を保障する制度でありまして、その総額の安定的な確保が必要であると考えております。  現在、国の経済財政諮問会議などにおきまして、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含めた地方税財源のあり方につきまして、一体として見直しが進められているところであります。  県としましては、今後、地方の意見が十二分に反映され、安定した税源の移譲や地方交付税の確保など、地方の自主性が十分発揮できる税財政制度が確立されるように、国に対し強力に働きかける決意であります。議員各位の御尽力もお願い申し上げます。  次は、治水対策についての御質問であります。  国の社会資本整備審議会の答申では、流域全体による治水の考え方が示されており、総合的な治水対策を検討すべきと思うがどうかという御質問であります。  国土交通省では、新しい時代の治水政策の基本的な方向性を検討するに当たりまして、社会資本整備審議会に対し諮問を行い、その答申が今年の2月に「新しい時代における安全で美しい国土づくりのための治水政策のあり方」として取りまとめられたところであります。その中で、これからの治水対策のあり方としましては、まず、流域の特性に応じた効果的な治水対策を実施すること。また、治水事業のより一層の重点化、効率化を図り、早期に効果を発現させること。さらに、安全に避難できるシステムの整備などソフト対策を実施することなどが示されております。  県としましては、御案内のように多くの急流河川を抱えておりますので、これまで経済性や実現性を十二分に比較検討の上、河川改修、ダム、放水路等の整備を積極的に進めてまいりました。また近年、都市部を中心に発生した浸水被害の対策としまして、県、市、関係団体が連携して、河川、下水道等の整備や農業用の水門操作の迅速化など、地域の実情に即したハード、ソフト両面の対策を計画いたしまして、それに基づいた事業を進めてきております。さらに、地域住民が適切な避難行動をとれるように、雨量や河川水位などの防災情報をインターネットで広く県民に提供することも行っております。  いずれにいたしましても、治水対策は県民の生命、財産を守るために極めて重要であります。こうしたことから、社会資本整備審議会の答申内容も十分踏まえて、今後とも、地域の特性に応じたさまざまな手法を用いて、また各種の事業を連携させながら、総合的かつ計画的に施策を進めてまいりたいと考えております。  次は、福祉対策についての御質問であります。  県社会福祉審議会から答申等が行われた県民福祉基本計画及び県民福祉基本計画推進プロジェクトについて積極的に取り組むべきと思うが決意はどうかという御質問であります。  県としましては、富山県社会福祉審議会に県民福祉条例に基づく県民福祉基本計画の策定を諮問しておりましたが、このほど答申をいただいたところであります。県民福祉基本計画の策定に当たりましては、県民や福祉関係者を対象に実施したアンケートを通じまして、まず地域において総合的なサービス提供体制を整備すること、また子供のときから福祉教育を充実すること、さらに地域住民の自主的な活動に対して支援することなどについて強い要望が寄せられたところであります。  今回の答申におきましては、これらの県民の意向を踏まえまして、まず第1に、住民参加による地域総合福祉活動をさらに充実し、保健、医療、福祉が連携した地域ケアシステムを構築すること。第2に、ノーマライゼーションの理念に基づき、ハード、ソフト両面にわたるバリアフリー化やユニバーサルデザイン化を推進すること。第3に、福祉サービスの向上を図る第三者評価の実施など利用者本位の福祉サービスを提供することなどが盛り込まれております。  また、この答申とあわせまして、県民福祉基本計画推進プロジェクトが意見具申されまして、来年度から3カ年を重点期間として積極的に取り組むように要請されているところであります。  県としましては、先般、この答申や意見具申を十分尊重して、県民福祉基本計画を策定いたしました。今後、計画の基本目標であります「元気・しあわせ社会“福祉とやま”の実現」を目指しまして、県民福祉基本計画推進プロジェクトに盛り込まれました施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。  最後は、県内の大学問題についての御質問であります。  県内国立3大学の再編統合に向けた取り組み状況と県の対応について所見はどうかという御質問にお答えいたします。  県内国立大学の改革再編につきましては、昨年の3月に3大学の間で再編統合の検討開始について正式合意がなされまして、その後、学長、副学長等をメンバーとする新大学構想協議会や、より少人数の新大学構想策定委員会におきまして、再編統合の合意に向けた検討が進められてきております。しかしながら、たび重なる協議にもかかわらず、いまだ新大学の骨格についての合意に達していないところであります。  県内の国立3大学は、御案内のように、それぞれ県、市町村、県民の大きな支援協力のもとに設立され、発展してきた経緯があるわけであります。また、学術文化の向上、人材の育成、産業の振興などに極めて重要な役割を果たしてきております。こうしたことなどから、県としましても強い関心を持って、今回の改革再編の問題に積極的に対応してきたところであります。  一昨年の11月には、県内の各界各層から成る国立大学の改革等に関する懇談会が設置されておりますが、この懇談会からは、まず、交流と貢献の新たな理念のもとに、教育、研究、運営の一層の拡充、再編等に取り組むこと、また、設立の経緯や伝統を踏まえ、現在のキャンパスなどを活用して地域とともに発展することなどを内容とする中間提言が各大学などに提出されたところであります。本県からは、文部科学省にもこの中間提言を提出いたしております。  また、懇談会に小委員会を設置いたしまして、これまで3回にわたりまして各大学の学長、副学長から検討状況等の説明を受けますとともに、小委員会の委員からは大学側に対しまして活発な意見、要望を行ったりいたしておりまして、この中間提言が反映されるように努めてきたところであります。  なお、富山医科薬科大学が去る2月20日の協議会におきまして再編統合の時期を平成17年10月とし、この3月を目途に調印を目指すという方針を打ち出すなど、現在3大学は、できるだけ早い時期における合意を目指して精力的に話し合いを続けているところであります。  県としましては、今後とも、大学側の検討状況に応じまして、適宜小委員会や懇談会を開催するほか、各大学の運営諮問会議などにおきまして、中間提言を踏まえて率直な意見、要望を述べていきたいというふうに思っておりまして、引き続き積極的に働きかけてまいりたいと存じます。  この大学の統合の問題は極めて重要な問題でありますので、ぜひ県議会におかれましても、今後一層の御指導、御教示をお願い申し上げます。  以上であります。 27 ◯議長(竹内弘則君)山本商工労働部長。    〔商工労働部長山本勇宰君登壇〕 28 ◯商工労働部長(山本勇宰君)小泉内閣の政策についてのうち、「構造改革なくして景気回復なし」とする政策が経済や雇用の一層の悪化を招いており、もっと地域にやる気を起こさせる政策こそが必要とされていると思うがどうかについてお答えをいたします。  国においては、構造改革の取り組みをさらに加速することにより、デフレを抑制しながら民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指すこととしております。このことも大切でありますが、長期にわたって不況が続いていることや地域の厳しい情勢を踏まえ、適切な景気・雇用対策の実施や成長産業分野の施策などを、地方の発想を重視し拡充し、強力かつ総合的、効果的に実施することを考慮願いたいと思っております。  県といたしましては、本県経済が依然として厳しい状況にあることから、景気・雇用対策に重点的に取り組むこととしておりますが、その場合においても、長期的視点に立って本県産業の将来展望に留意してまいりたいと考えております。  このようなことから、第1に、本県の地域資源の活用が期待できるIT、バイオ、深層水等の成長産業の振興や、少子高齢化や環境問題等に対応する福祉・環境分野等の新しい産業を育成すること。第2に、物づくりを中心とした地場産業における新商品、新技術開発の促進や経営革新への支援等により、県内既存産業の高度化や新しい分野での積極的な事業展開を促進すること。第3に、創業・ベンチャーの推進により、本県産業の新たな芽を育てることなどに取り組んできたところであり、また15年度予算案におきましても、これらの施策の拡充を図ることとしているところであります。  今後とも、経済のグローバル化など社会経済の潮流を的確にとらえ、本県産業の有する発展の可能性を伸ばすとともに、次代を担う新しい成長産業が数多く生み出され、地域経済の活性化が図られるよう関係団体等とも協力の上、一層努力してまいりたいと考えております。  次に、地方自治のあり方についてのうち、職業安定業務について、地方の実情に応じた雇用対策を実施できるよう県にその業務を移譲すべきと思うがどうかについてお答えをいたします。  公共職業安定所に対する指揮監督を知事に機関委任することを前提とした地方事務官制度は、機関委任事務の廃止に伴い廃止されたところであります。このことは、雇用対策が国に一元化されたことを意味するものではなく、県においてもその実情に応じた雇用対策を推進する必要性や役割は変わらないものと理解をしております。  また、住民に身近な行政サービスは地方公共団体で行われるべきでありますが、職業安定業務につきましては、雇用保険制度の安定した運営確保や、雇用保険と職業紹介の一体的な運営による早期再就職の促進や、職業安定機関の全国的な運用を定めたILO第88号条約の履行などの理由から、国の機関で行われてきたと承知をしております。  県といたしましては、雇用対策は県政の重要課題であり、その推進に当たっては国、県、市町村が連携するとともに、相互に情報提供等を行うことが重要であると考えており、このため、富山労働局と密接な連絡協力体制のもとに一体的に事業を推進できるよう、例えば、労働行政全般について協議する労働関係連絡会議の開催や、雇用対策の円滑な実施を行うための雇用対策連絡調整会議の開催などを行っているところであります。また、県の設置する富山県雇用対策推進本部への参画や、大量離職の発生時には、県、労働局、関係団体による再就職支援ネットワーク会議を設置して機動的に対応することとしております。  今後とも、県の実情に応じた雇用対策が効果的に行えるよう、労働局など関係機関と密接に連携協力しながら雇用の安定確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、福祉施策につきましてのうち、ジョブコーチ制度についてニーズをどう把握しているのか。また、今後ジョブコーチを増員する計画はあるのかについてお答えをいたします。  ジョブコーチ制度は、障害者の円滑な職場適応を図り、安定した職業生活を送ることができるようにするため、昨年5月の障害者の雇用の促進等に関する法律の改正を契機に、新たに創設されたところであります。  本県ではこれまでに10人のジョブコーチが配置され、これまで30人の障害者がこの制度を活用しております。この中で、現在までに就労した者が22名で、そのうち20人が職場定着をしております。  本事業につきましては、富山障害者職業センターにおいてリーフレットを作成し、事業所やハローワーク、障害者諸施設などへの配布、経済団体の機関誌や障害者雇用促進協会の情報誌の活用、富山地域職業リハビリテーション推進フォーラムの開催などにより周知啓発を図っているところであります。  また、県としても、富山県障害者雇用推進会議や市町村福祉担当者会議、障害者施設担当者会議などの各種会議、また総合的雇用対策の説明相談会や、新たに設置する障害者雇用推進員などを活用しながら、この制度の一層の周知とニーズの把握にも努めてまいりたいと考えております。  国においては15年度予算において関連予算が増額要求されており、県としては、事業所や障害者のニーズなど実態をよく聞きながら、国に対してジョブコーチの増員を積極的に要請してまいりたいと考えております。  以上でございます。 29 ◯議長(竹内弘則君)江畑経営企画部長。    〔経営企画部長江畑賢治君登壇〕 30 ◯経営企画部長(江畑賢治君)まず、小泉内閣の政策についての御質問のうち、民間に任せられるものは任せるという政策に関して、教育や福祉など競争原理になじまないものは公が実施すべきではないかという御質問にお答え申し上げます。  公共性、公益性の高い分野、いわゆる公的サービスと言われる分野におきましては、民間のサービスで十分提供できないようなもの、また公平で一律的なサービスが必要なものなどにつきましては、これまでいわゆる行政が中心となってそのサービスの主体となってきたところでございます。  ただ、こうした公的サービスの分野におきましても、御質問の中にもございました例としての福祉の分野におきましても、御承知のように、介護保険サービスなどのようにこれまで民間の参入が進んでいるものもございますし、また教育の分野では、御承知のように古くから私学が個性豊かな教育活動を行うなど重要な役割を果たしているところでございます。  また、その上、今後ますます多様化、高度化する住民サービスに適切に対応していくためには、行政だけではなく、民間、各種団体や各種法人──NPO法人等を含めてでございますが、多様な主体がそれぞれの特徴を生かしながら、この公的サービスの提供主体となっていくことが必要となってくるというふうに考えております。また、その際には、行政か民間かというすみ分け論ということよりも、住民サービス、住民ニーズにどれだけ的確にこたえて、満足の高いサービスをいかに提供していくかという観点から考えるべきでございまして、住民の視点に立って考えるならば、相互にサービスの質を競い合うということが望ましいと考えております。  そうした観点から、公的サービスというサービスの提供に当たりましては、県民サービスの向上あるいは県民の満足度という観点から、民間が実施したほうが効果的であるというふうに判断される場合は民間に任せるべきということが適当であるというふうに考えております。
     ただ、そうした際には、行政の役割としては、民間サービスに対するサービスの質の確保あるいは水準の確保、またはチェック機能の確保といったことが十分必要だというふうに考えております。また、こうした民間のサービス活動が生き生きと展開されるような条件整備、またこうした民間主体の育成といったことが重要であるというふうに考えておるところでございます。  次に、地方自治のあり方についての御質問のうち、合併を行わない市町村に対する支援のあり方についての御質問にお答え申し上げます。  今後、地方分権が一層進むにつれまして、高度に専門的、技術的な事務の処理や、ますます多様化する住民ニーズに的確に対応するためには、住民に最も身近な自治体であります市町村の行財政基盤を強化することが一段と重要となるというふうに考えておりまして、そのための重要な選択として市町村合併についての議論がなされてきております。合併を選択しない市町村は、行財政基盤の見通しなどさまざまな要素を十分に検討して決断されるものであり、合併を進める市町村以上に行政改革を進めるなど、一層の努力が必要になるというふうに考えております。  県としましては、従来から、各市町村がその個性を生かした魅力あるまちづくりができますように、まちづくり総合補助金を初め、行財政運営についてのいろいろな助言協力を行ってきておりまして、県内の市町村が市町村合併を選択した場合も、また合併を選択しない場合も、それぞれの市町村が引き続き魅力あるまちづくりを進められるような必要な支援協力等をこれからも行ってまいりたいというふうに考えております。  最後に、県内の大学問題についてのうち、県内の私立大学について魅力あるものとなるような施策を講ずるべきという御質問にお答え申し上げます。  御質問にもございましたように、少子化の進行などによりまして、県内の私立大学でも大変厳しい環境が続いてきております。魅力ある大学づくりにつきましては、まず大学みずからが現在の厳しい環境を重く受けとめまして学生募集に努力するとともに、教育、研究のあり方を工夫してその魅力を高めていくために、さまざまな改革に一層真剣に取り組んでいただくことが肝要であるというふうに考えております。  このため、現在、高岡法科大学では、特待生制度の充実を図りますとともに、法学部に複数学科制を導入するなどの検討も進められているというふうに聞いております。また、富山国際大学におきましても、学部の改編を含む大学改革の方策について検討組織を設けて本格的な検討を開始するとともに、海外留学奨励制度の充実や国際ボランティアの事業の開設につきましても検討を進めているというふうに聞いております。  県としましては、これまで施設整備に対する助成など県内の私立大学の支援に取り組んできたところでございますが、大学側からの要請も踏まえまして、富山県高等教育振興財団と連携して、平成14年度から、私立大学の学生確保対策などへの支援、また県内大学の魅力をPRするためのガイドブックの作成配布への支援なども行っております。また、新年度におきましては新たに、私立大学の学生就職促進事業に対する支援や県内大学が一堂に会して行う高校生等に対する合同説明会に対する支援も行うことにしておるところでございます。  県内の高校生を初め受験生にぜひとも進学したいと思ってもらうような魅力ある大学の実現が重要でありまして、大学側と連携をとりながら、また富山県高等教育振興財団とも連携しながら、この大学に対する適切な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 31 ◯議長(竹内弘則君)森岡土木部長。    〔土木部長森岡秀悟君登壇〕 32 ◯土木部長(森岡秀悟君)まちづくりについての御質問のうち、まず計画的なまちづくりを推進するため、県や市町村が将来を見通した明確な指針を策定すべきと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。  将来を見通した計画的なまちづくりを推進するため、県では現在、21世紀における富山県のまちづくりの指針となる都市計画マスタープランの策定を進めておるところでございます。少子高齢化の進展や環境などに対する住民意識の高まりを背景として、議員御指摘のように、まちづくりにおいてもゆとりや潤いが求められていることから、都市計画マスタープランの県全体の基本構想におきまして、地域活力を生み出す都市機能の強化を初めといたしまして、豊かな自然や歴史、文化にはぐくまれた都市環境の創出、また安全で快適な人や自然にやさしい都市の形成などをまちづくりの基本的方向として取りまとめることとしておるところでございます。  まちづくりにつきましては、市町村が主体的に取り組んでいくことが重要でありまして、このような基本的な方向を踏まえ、例えば市町村都市計画マスタープランにおいてまちづくりの方向性を示していくことや、地区レベルでの良好なまちづくりを推進する地区計画制度の活用など、各市町村がそれぞれの特徴を生かした個性豊かなまちづくりに積極的に取り組んでいっていただきたいというふうに考えております。  県といたしましても、今後とも市町村と連携をして、ゆとりや潤いのある魅力あるまちづくりの実現に向けて努力してまいりたいと考えております。  次に、組合施行などの土地区画整理事業において、保留地売却による事業費確保が難しくなっていることから、県や市町村は強力に支援すべきと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。  御質問の中にもございましたが、土地区画整理事業は、道路、公園などの公共施設と宅地等を一体的に整備し、土地の利用を増進することにより、健全な市街地を形成する事業でありまして、まちづくりを進めていく上で極めて有効な手法であると考えております。  保留地の売却の円滑化を含めまして事業を円滑に進めるためには、例えば地域の核となる魅力ある施設の誘致や、ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業やまちづくり総合支援事業の実施などによりまして、魅力ある都市空間を形成していくことも大切であるというふうに思っております。またさらには、市町村による保留地の活用や、保留地の円滑な売却に向けた民間開発事業者などとの連携などについても検討することが必要と考えております。  県といたしましては、このようなさまざまな方策の中から、地域に合ったものを進めていくことが大切であると考えておりまして、今後とも、国庫補助事業の積極的な導入なども含めまして、国や市町村とも連携を図りながら事業施行者の支援に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 33 ◯議長(竹内弘則君)阿部厚生部長。    〔厚生部長阿部重一君登壇〕 34 ◯厚生部長(阿部重一君)福祉施策についての御質問にお答えいたします。  まず、地域総合福祉活動支援事業として新たにケアネット型が予算計上されているが、どのように推進するのかという御質問にお答えをいたします。  福祉に対するニーズが増大かつ多様化する中で、支援を必要とする県民一人一人に合った福祉サービスを適時適切に提供することが極めて重要であると考えております。このため本県におきましては、これまでも地域総合福祉の充実を図るため、小学校区単位での住民参加の地域福祉活動や市町村のボランティアコーディネーターの設置について支援するなど、本県独自の施策に積極的に取り組んできているところでございます。  さらに県では、県民福祉基本計画の策定を機に、これまでの取り組みの成果を踏まえまして、より一層地域総合福祉の充実を図りますため、来年度から新たに5市町村、40地域を対象にいたしまして、地域総合福祉活動支援事業のモデルとなります「ふれあいコミュニティ・ケアネット21事業」を実施することにしております。  具体的に申しますと、まず第1に、地域福祉活動において問題発見された要支援者に対しまして、市町村社会福祉協議会に配置されるコーディネーターが個別にサービスプログラムを作成すること。2番目に、地域住民や保健、医療、福祉の関係者によるケアネットチームが、個々のサービスプログラムに基づきまして多様な福祉サービスを提供すること。3番目に、県社会福祉協議会にスーパーバイザーを配置いたしまして、市町村における取り組みを総合的に調整することなどを内容としているところでございます。  事業の実施に当たりましては、市町村や県社会福祉協議会など関係団体が協力し、住民参加の地域福祉活動や保健、医療、福祉の連携による地域のコミュニティーケア活動がさらに充実していくよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、国の新障害者基本計画策定を受け、とやま障害者プランを見直すこととしており、ノーマライゼーション推進のため、障害者を地域で支える施策に積極的に取り組むべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。  昨年12月に、新しい国の障害者基本計画と、その前期5カ年の実施計画でございます重点施策実施5カ年計画が策定されまして、その中では、障害者の地域での自立生活を支援する施策を充実することが明確に打ち出されているところでございます。  本県の障害福祉サービス基盤につきましては、これまで平成9年に策定しましたとやま障害者自立共生プランに基づきまして、計画的に整備を進めてきたところであります。知的障害者更生施設や授産施設、精神障害者の社会復帰施設や共同作業所、グループホームにつきましては、おおむね順調に整備が進んでおります。一方、身体障害者のためのホームヘルパーや知的障害者のためのグループホームなどにつきましては、御指摘のとおり全国平均を下回っている現状でございます。  このような状況を踏まえまして、県といたしましては、在宅サービスのかなめである障害児者ホームヘルプサービスの充実を図るため、昨年10月には重度身体障害者の外出支援を行うガイドヘルパー養成研修事業、さらに本年2月には知的障害児者ホームヘルパー養成研修事業をそれぞれ新たに実施したところでございます。来年度以降もこれらの事業を継続いたしまして、積極的に障害児者ホームヘルパーの養成に努めてまいりたいと考えております。  また、知的障害者のためのグループホームで2カ所、精神障害者関係でございますと、社会復帰施設で2カ所、共同作業所で1カ所の整備に対し支援を行うこととしております。さらに、在宅障害者の多様なニーズにこたえていくため、民間デイケア事業における私的利用回数について月4回から月8回に拡充するほか、新たに、養護学校に通学する障害児の学童保育事業に対する支援も実施していくこととしております。  県といたしましては、国の新しい障害者基本計画における在宅福祉重視の考え方を踏まえまして、障害者施策推進協議会や障害者団体などの意見も聞きながら、県の新しい障害者プランを策定し、ノーマライゼーションの推進と障害者を地域で支える施策に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  次に、聴覚障害者情報提供施設の設置、手話通訳者の養成や処遇改善に積極的に取り組むべきと思うがどうかという御質問にお答えをいたします。  本県内には、平成13年度末現在で約 5,400人の聴覚障害者がおられます。県ではこれまでに、手話通訳者等の養成・派遣、それから字幕入りビデオカセットの貸し出し、情報機器研修会の開催などを通じまして、聴覚障害者の福祉の向上にきめ細かく取り組んできているところでございます。  お尋ねの聴覚障害者情報提供施設につきましては、聴覚障害者の活動拠点となるものと考えておりまして、平成15年度に新たに整備のあり方等について調査検討を行うこととしたところでございます。  また、手話通訳者につきましては、現在、県ろうあ福祉協会に専任通訳者を2名配置しておりますほか、登録通訳者として40名を確保いたしまして、聴覚障害者からの派遣依頼に対応しているところでございます。  県では、年々増加している派遣依頼に対応してまいりますために、今後とも、毎年実施している手話通訳者養成事業を通じまして、計画的に必要な登録通訳者の確保に努めていくこととしております。  なお、手話通訳者の処遇改善につきましては、毎年より高度な手話技術習得のための現任研修を実施しておりますほか、頸肩腕障害予防のための検診も行っているところでございます。また、登録通訳者の派遣手当につきましては、他県と比較いたしましてほぼ同等の水準を維持しているところと考えております。  県といたしましては、今後とも聴覚障害者への情報提供やコミュニケーション支援のための施策の充実を図りまして、聴覚障害者の自立と社会参加を強力に支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。 35 ◯議長(竹内弘則君)井田農林水産部長。    〔農林水産部長井田善久君登壇〕 36 ◯農林水産部長(井田善久君)ダム排砂による漁業への影響についての御質問にお答えいたします。  まず、ダム排砂による漁業への影響についてどのように認識しておるのかという御質問にお答えいたします。  ダム排砂は平成3年12月に第1回目が行われましたが、このときはダム建設から6年を経過して初めての排砂であったということから、ダムの底にたまっておりました腐敗した有機物を含んだ土砂が富山湾に流入し、直接漁業に被害を生じたということでございます。その後、この経験を踏まえまして、新たに流入する土砂をできるだけためないで、より自然に近い形で出水時に排砂が実施されているところでございます。  排砂と漁業との関係につきましては、漁獲量の増減は、我が国周辺水域の水産資源の状況、水温の変化、海流の強弱や方向、漁獲努力量の動向等々さまざまな要因が複雑に絡み合って生じるものと考えられておりまして、ダムの排砂と漁獲量の増減との直接的な関連につきまして判断することはなかなか困難であるというふうに考えておるところでございます。  ダムの排砂によります環境影響調査につきましては、排砂実施機関により、漁業者、漁業団体の意見を聞きながら水質、底質等調査がなされておりまして、その結果につきましては、河川、環境、漁業などさまざまな分野の学識経験者で構成されます黒部川ダム排砂評価委員会におきまして、特に問題となる現象が見られないとされているところでございます。  しかしながら、この環境影響調査につきましては、今後とも継続実施いたしまして、中長期的に見ていく必要があるとされておりまして、この調査の継続実施が重要であると考えておるところでございます。  また、県の水産試験場におきましても、漁業者の要望を取り入れまして、沿岸域を中心に漁場環境調査を実施してきているところでございますが、特に昨年度は富山湾の中央部も含めた全水域を対象といたしまして富山湾漁場環境総合調査を行ったところでございますが、当該海域の底質調査の結果では、汚れの指標として見た全硫化物とCODの数値は水産用水の基準を下回っていたところでございます。  いずれにいたしましても、県といたしましては、ダム排砂について、漁業、農業関係者の意見や要望を十分反映され、漁業、農業への影響が極力少なくなるように、排砂実施機関に働きかけてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  次に、平成8年9月に関西電力が県漁連に支払った漁業振興対策費と漁業補償金の配分は適正だったのか。また、これに関連し、関係漁協と誠意ある話し合いをするよう県漁連を指導すべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。  漁業補償問題は、当事者であります民と民との問題といたしまして、県漁連が漁業団体、漁業者を代表して関西電力と交渉に当たったものでありまして、その結果、両者間で十分話し合いがなされ、合意がなされたものであるというふうに考えておるところでございます。  そうはいたしましても、県といたしましてはこれまでも、交渉に当たった責任がある県漁連に対しまして、この問題について漁業者の理解を得るための努力をするよう強く求めてきたところでございます。  このことから、平成12年には一部漁業者と県漁連との間で行われました民事調停におきまして、県漁連から関西電力との補償金額や漁業振興対策等の契約概要が当該漁業者に示されたところでございます。さらには、昨年8月に黒部以東の1つの漁協から要請がありまして、県の立ち会いのもとで、契約概要について県漁連から説明がなされたところであります。そういう状況の中で今回の訴訟に至ったことにつきましては、残念なことと思っておるところでございます。  以上でございます。 37 ◯議長(竹内弘則君)小川晃君。    〔13番小川 晃君登壇〕 38 ◯13番(小川 晃君)再質問を行いたいと思いますが、今の一番最後の農林水産部長の答弁でございますが、いわゆる黒部川出し平ダムの排砂をめぐる問題は、平成3年にヘドロが大量に流れ出て大きな影響を与えたという、これは共通の認識でございます。そしてその後ずっと排砂が、先ほども言いましたように、連携排砂とか単独排砂とかいろいろ排砂が行われてきておりますが、それにはヘドロは流れていない。したがって漁業に被害は与えていないという、こういった趣旨だろうと思います。今の答弁では、漁業被害があっても、それはいろいろな因果関係があってなかなかそれがわからないという、私に言わせたら大変あいまいな答弁だったと思います。  しかし、現実問題として、その排砂以降、魚が激減をした、あるいはワカメが全滅をした、こう訴えている漁民が少なからずいるわけでしょう。それは、漁協が、漁連が全部請け負って交渉して、そしてお金を払ったからそれでいいという問題ではないというふうに私は思うんです。  しかも、先ほど私も言いましたように、とにかく漁業振興対策費という名目で25億円、補償金という形で4億 8,000万円、漁民に渡ったのがそのうちの3億弱という内容になっておるわけです。しかも私は、これは合法かどうかということも求めたのでありますが、いわゆる領収書を漁民がもらう際に確認書がありまして、その確認書には「今後一切、排砂に伴うことについては文句は言わない」、こういう内容のものが記されている。これは明らかに、今後排砂によって漁業被害が生ずるおそれがあるから、あらかじめお金でもって封じ込めておこうという、こういう趣旨のものじゃありませんか。であるならば、こういうことについては、私に言わせると、これは極めて不穏当であり、また法律に違反をするおそれがあるのではないか。  こういうことについてもう少し明快に、漁民の立場に立って農林水産部長は調査をなさって──特に県漁連との間で今訴訟が起こされている。1つは関電に対しての排砂の差しどめ訴訟でありますが、もう1つは一漁協から補償金の配分の不透明さ、こういうことをもっと明確にしろという訴訟が起こされている。そういうようなことを考えると、もう少し県漁連の透明性を確保するということも必要ではないでしょうか。こういったことについて不満がたくさんありますので、こういうことになっている。  そこで、県農林水産部とされては、漁民の立場に立ってもう少し子細に調査をされて、そして漁業被害あるいは排砂に伴う損害というものについてもう一度見直すべきではないか、こういうふうに思うのであります。そういう点を含めて、県漁連に対して指導をなされるべきではないかというふうに思いますので、もう一度答弁をお願いいたします。 39 ◯議長(竹内弘則君)井田農林水産部長。    〔農林水産部長井田善久君登壇〕 40 ◯農林水産部長(井田善久君)お答えいたします。  漁獲量の影響について極めてあいまいだという御指摘だったかと思いますが、逆に言えば、それほど漁獲量と排砂を関連づけると難しい問題であるということを御理解いただきたいと思います。正直言いまして、私自身入善で黒部川の河口の近くに住んでおるわけでございまして、漁獲量と排砂の関係につきましてさまざまな意見があるということでございます。  それと、県漁連をもっと指導せよという御指摘でございますが、今ほどお答えしましたように、県がいろいろとそういう責任がある立場であるということで県漁連を指導した結果として、そういういろんな調停の場ですとか、昨年8月に黒部以東のある漁協からそういう情報開示のあった際に、県漁連がその契約の中身の概要について明らかにしたということでございますので、8月にその情報を明らかにしたときには当該漁協も納得したというような状況だったというふうに聞いておるんですが、その後そういう訴訟に至ったということで、先ほど申しましたようにちょっと残念だなという思いでおるわけです。  いずれにしましても、こういう厳しい漁業環境の中で、漁連なり単協は漁業者、生産者の組織でございますので、言うてみれば内輪もめせずにもうちょっと仲よくフランクにひとつ話し合いをしてほしいという思いがいたします。  以上でございます。 41 ◯議長(竹内弘則君)以上で本日の総括質問、質疑を終わります。  これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。          常任委員会への審査付託 42 ◯議長(竹内弘則君)次に、ただいま議題となっております議案第1号から第55号まで、第58号から第77号まで、報告第1号及び議員提出議案第1号については、お手元にお配りした議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。          議員提出議案第2号 43 ◯議長(竹内弘則君)次にお諮りいたします。  ただいま平村国光君ほか11名から議員提出議案第2号が提出されました。この際これを日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 44 ◯議長(竹内弘則君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  これより議員提出議案第2号を議題といたします。  議案を職員に朗読させます。 45    〔職員朗読〕     ───────────────────── 議員提出議案第2号       イラク問題の平和的解決に関する決議  上記の議案を別紙のとおり会議規則第14条の規定により提案理由を付け提出いたします。   平成15年3月14日 富山県議会議長  竹 内 弘 則 殿             提出者 富山県議会議員                  平  村  国  光                  梶     敬  信                  犬  島     肇                  江  西  甚  昇                  四  方  正  治                  菅  沢  裕  明                  鹿  熊  正  一
                     小  川     晃                  山  辺  美  嗣                  中  川  忠  昭                  島  田     一                  坂  野  裕  一       イラク問題の平和的解決に関する決議  イラク問題をめぐる国際情勢は一段と緊迫の度を増している。  国連安全保障理事会は昨年11月、イラクに対し大量破壊兵器の廃棄と査察の無条件受け入れを義務付けた国連1441号決議を全会一致で採択した。  この決議に基づき国連の査察が続けられているが、3月7日に行われた国連査察団の報告においても、イラク側の査察への協力は依然として不十分であるとの見解が示されている。また、同日、アメリカ、イギリス及びスペインの三カ国から、イラクに対し大量破壊兵器の廃棄期限を設定する決議案が共同提出されるなど、予断を許さない状況になっている。  イラクは直ちに大量破壊兵器の完全な武装解除を行い、国際社会の懸念を払拭すべきである。  イラクに対し武装解除のための武力行使がなされれば、一般人にも多くの犠牲者が出ることとなり、人道上座視し得ない。  戦争のない平和な世界の実現は、人類共通の願いである。  よって、本県議会は、我が国を含む全ての国が国連の場において結束し、イラクの大量破壊兵器完全武装解除を早急に実現するため、査察の継続・強化等による武力行使によらない問題解決への努力が継続されるよう強く求めるものである。  以上、決議する。   平成15年3月14日                     富 山 県 議 会         提   案   理   由  イラクの大量破壊兵器完全武装解除を早急に実現するため、全ての国が国連の場において結束し、査察の継続・強化等による武装行使によらない問題解決への努力が継続されるよう求めるものである。     ───────────────────── 46 ◯議長(竹内弘則君)お諮りいたします。  ただいま朗読した議案については、この際直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 47 ◯議長(竹内弘則君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  これより採決いたします。  議員提出議案第2号は原案のとおり決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 48 ◯議長(竹内弘則君)御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決されました。 49 ◯議長(竹内弘則君)以上で本日の日程は終了いたしました。  次に議会の日程を申し上げます。  3月17日は議会運営委員会及び各常任委員会を開催いたします。  次回の本会議は3月18日に再開し、諸案件の審議を行います。  本日はこれをもって散会いたします。  午後2時24分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...